45周年 サザンオールスターズが愛され続ける理由「『何を歌ってもいい』桑田の信念が心に響く」

「サザンビーチちがさき」のシンボル「サザンC」(写真提供:茅ヶ崎市観光協会)

1978年6月25日に発売された『勝手にシンドバッド』で衝撃的なデビューを飾り、今年45周年を迎えたサザンオールスターズ。7月から新曲を3カ月連続で配信予定、さらに9月には神奈川県茅ヶ崎市の茅ヶ崎公園野球場で『茅ヶ崎ライブ2023』を4日間にわたり開催することを発表した。今もサザンオールスターズが多くの人の心をつかんで離さない理由を音楽評論家のスージー鈴木さんに聞いた。

■圧倒的な感情を喚起させる“桑田語”

「鮮烈なデビュー曲『勝手にシンドバッド』の衝撃は45年たっても色あせません。そもそも『胸さわぎの腰つき』ってどんな腰つきかわからない。けれども音楽の中で聴くと『わかる』のです。

言葉そのものというより、言葉とビートがぴったりと結び付くことで、文字だけでは伝わらない圧倒的な感情が喚起される。そんな“桑田語”に私たちは癒され、勇気づけられ、心震わせられてきました」

そう語るのは音楽評論家のスージー鈴木さん。サザンが45年もの間、支持され続ける理由についてこう分析する。

「ワンマンバンドはだいたい早くついえるんです。ところが桑田佳祐という強烈なリーダーがいながら45年続いている。その理由のひとつがテクニシャンバンドだということです。サザンを一貫して牽引し続けているのはドラムスの松田弘。『勝手にシンドバッド』のリズムをたたき出せたことこそがブレークに結びついたと思います。さらに原由子のセンスのいいキーボードも大きな役割を果たした。

メンバーの和気あいあいとした姿を見るにつけ、桑田はリーダーでありながら上から目線にならない“ムードメーカー”なのでしょう」

サザンは活動休止期間もあるが、メンバーそれぞれ実力があるからこそ長続きしているという。

■ラブソングも、エロも、政治的なことも…何を歌ってもいい

さらに桑田の「こだわり」も私たちの心を離さない理由のひとつだという。

「桑田には『ロック音楽は何を歌ってもいいんだ』という揺るぎない根本思想を感じます。45年間貫いているのは歌詞にまつわるさまざまな制約に対する抵抗感かもしれません。

とにかく何を歌ってもいい。ラブソングでなくともいい。エロなことから政治的なことまで、ノー制約で何を歌ってもいいという感覚。戦後の音楽家で『表現の自由』をもっとも満喫し、謳歌した人です」

日本の音楽シーンの先頭を駆け続けているサザンについて、最後にスージーさんはこう語る。

「桑田佳祐は67歳。そう考えると、なかなかの高齢だと思ってしまいますが、沢田研二が今年75歳になったにもかかわらず、積極的にライブ活動をしているのを見るにつけ、5年

後の50周年でも桑田佳祐は現役バリバリかもしれませんね。

ファンとしては長く地味に、のんびりと活動してほしいものですが、ドームコンサートなどこれまで以上にド派手なことをしてくれそうな気がします」

【PROFILE】

スージー鈴木

1966年、大阪府生まれ。音楽評論家。著書に『サザンオールスターズ1978-1985』『桑田佳祐論』など。

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