【今週のサンモニ】定番テーマに定番コメントで偏向報道|藤原かずえ 『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。今回は番組の定番テーマについた定番の無責任コメントを斬る!

定番テーマに定番のグダグダコメント

2023年7月2日の放送では、過去にサンモニが偏向報道を繰り返してきた定番のテーマがいくつも登場しました。問題を正確に理解することなく無責任に言い放つグダグダなコメントの連続にはあきれるばかりです。

今回はテーマごとに、印象的なコメントを見ていきましょう。

核抑止

青木理氏:抑止は相当危うい。大国が安定していて相互に対峙しているなら核抑止はあり得るが、一歩大国がこういうふうになってくると、この核どうなっちゃうの。プーチン政権もずっと盤石とはいえないのだったら誰が次ポストプーチン政権であると考えると、世界最大の核保有国のロシアの動向は世界中に脅威を及ぼすということを考えると、核抑止の危うさというものも教訓として受け止めるべきだ

何を勘違いしているかわかりませんが、核抑止は「互いに核で抑止しあいましょう」というアグリーメントを敵国と結ぶものではなく、核という力ずくで脅すならずもの国家である敵国が核を使用しないよう核という強制力で威嚇するものです。

ならず者国家が核を第三者に奪われることは極めて深刻な問題ですが、そのことをもって「核抑止は危うい」とするのは理にかないません

コロナ

青木理氏:沖縄はかなり深刻で、僕の周囲でも例えば、沖縄慰霊の日の取材で現地に行って戻ってきた記者も結構いる。

これから夏休みシーズンになると、当然沖縄に遊びに行って帰ってくる人達も増える。そうなってくると、本当に地域的なもので済むのか、全国的に拡がっていく恐れもある。僕が今更言うまでもなく、2類を5類にしたのは、ウイルスの都合ではなく、こちら側の都合で、変わっていないわけだから、やはり高齢者の方々、基礎疾患を持っている方々、妊婦さんに対して移したら大変なことになることを考えると、一人一人が、みんな最近マスクを外して、僕もそうなんですけど、だいぶ気が楽になった気もするが、やっぱり必要に応じてマスクをする、あるいは検査をする、あるいは行動に気を付ける。高齢者の人と会うときは気を付けることが必要であるし。

同時にちょっと気になるのが政府あるいは自治体の対応だ。医療機関が結局増えないのだったら、単に見えなくなっただけで、医療機関がまた逼迫してしまうんだったら、高齢者とか持病があった人が重症化したときに対応できなくなってしまうという状況だけは避けるために政府・自治体の方々は申し訳ないですけど「頑張って下さい」というか、「また同じことを繰り返すのですか」という文句も言いたくなるし、注文も付けたくなる。

「破壊者」はどっちなのか……。

コロナ禍において、青木氏を含めたサンモニは、極めて悪質な【可能性に訴える論証】によって国民に対しコロナの恐怖を煽り続け、国民のマインドをゼロコロナに誘導しました。

ここで「可能性に訴える論証」とは、ある言説の出来事(事象)が起こる可能性が存在することを、ある言説の出来事(事象)が起こる可能性が高いことと混同して結論を導くものです。

コロナを2類を5類にしたのは、ほとんどの国民がコロナのリスクの過剰評価を問題視したことによるものであり、コロナの都合でも国民の都合でもありません。そもそもコロナを2類を5類にするのが遅れたのは、国民を恐怖に陥れて商売したテレビの都合であり、このために国民は甚大な経済的被害を受けました。

そんな中、青木氏は「また同じことを繰り返すのですか」という可能性に訴える論証を繰り返し、支離滅裂にコロナの恐怖を煽りました。「テレビの都合でまた同じことを繰り返すのですか」という文句を言いたくもなりますし、注文も付けたくなります。

原発処理水

畠山澄子氏:関係者の理解なしには(処理水の海洋放出を)行わないというのは、言っているだけではなくて、きちんと文書で約束している。約束破るのはだめじゃないですかというのがまず一つある。

東京電力は汚染水を保管しておく土地がないと説明していて、もうちょっと詳しく言うと、今は土地があるが、今後廃止措置が進んでいくと、放射性廃棄物が増えてくるし土地がなくなりますと説明している。その廃止措置を見てみると、まだ決まっていないことがすごくたくさんある。

例えば福島第一にはデブリが800トン以上ある。放射線量が高くていまだ取り出すことができない。つまり足りなくなると言っている土地が本当に足りなくなるのかもわからないような状態だ。

今週も絶好調なピースボート共同代表・畠山氏

福島第一原発の燃料デブリ冷却のために発生する汚染水は原発敷地内のタンクに保存され、港湾内に完全に封じ込めていることが当初からの海水モニタリングによって確認されており、安倍首相が東京五輪誘致のプレゼンにおいて「アンダーコントロール」という言葉で世界に向けて説明しました。

しかしながら、サンモニをはじめとするテレビは、この安倍首相発言に対して「アンダーコントロールなどされていない」と科学的根拠なく否定しました。原発事故後の一定期間において、コロナと同様「反原発」はテレビにとっての超有料コンテンツであり、テレビは福島の漁業を貶める風評を好き放題に拡散したのです。

さらにサンモニをはじめとするテレビは、風評被害が発生するという根拠で、科学的な安全が証明されている処理水を海洋放出することを問題視しました。風評を流布した当事者が風評被害が発生するという理由で、科学的に安全な措置を問題視したのです。

しかも廃止措置の計画がどのように進められようと、燃料デブリの冷却が必要な以上、増え続ける汚染水を保管しておく土地が不足するのは事実です。廃止措置の全容が決まっていないから「本当に足りなくなるのもわからない」とするのは極めて問題があります。

野生動物

サンモニ・アナウンサー:今北海道ではヒグマが街中まで出没するケースが増えています。その背景を探ると、人間の都合に振り回される野生動物の姿が見えてきました。なぜ今ヒグマの出没が増えているのでしょうか。

その原因の一つが、個体数の増加です。かつて北海道でヒグマは害獣として恐れられ、冬眠明けのヒグマをハンターが狙う春熊駆除を実施していました。ところが環境保全や動物愛護の意識が高まる中、絶滅を危惧する声が出ると1990年には春熊駆除を排し、以後ヒグマの個体数は2倍以上に増加したと推定されています。

人類の敵から一転、世界に誇る野生動物として保護が謳われ、数が増えると今度は厄介視されるなど、人間に翻弄されてきたヒグマ。そして人間たちに翻弄される野生動物は、ヒグマだけではありません。

この主張に従えば、ことあるごとに野生動物の出没を問題視するとともに野生動物の絶滅を危惧してきたサンモニも、野生動物を翻弄してきた当事者と言えます。その当事者が「人間の都合に振り回される」とするのは質が悪すぎます。サンモニは放送を通じて、野生動物だけではなく人間をも翻弄しているのです(笑)。

藤原かずえ | Hanadaプラス

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