ファンケル、第22回研究ミーティング「無添加化粧品容器のこだわりと環境への貢献」を開催

ファンケルは、第22回研究ミーティング(MTG)「無添加化粧品容器のこだわりと環境への貢献」を6月29日にファンケル銀座スクエアで開催。実際に原料や容器を見せながら、環境に配慮した容器開発や、キリンホールディングスとの共同開発について説明した。

登壇したファンケル総合研究所化粧品研究所容器開発グループの安達忠祐主任研究員は、無添加化粧品の品質と安全性を守るため、同社では30年以上前から環境に配慮した容器開発を進めてきたことを説明。これまでも環境対応の包装が評価され、数々の賞を受賞してきたが、近年はプラスチック使用量の削減目標を掲げ、より一層サステナブルな取り組みに力を入れている。

例えば2021年7月からは「FANCL リサイクルプログラム」を開始。全国の直営店舗で使用済みの化粧品容器を回収し、回収した容器は、特例子会社ファンケルスマイルで分別・洗浄・乾燥の作業を行った後、協力会社で植木鉢などにリサイクルしている。

その結果、ファンケルグループ全体のプラスチックを使用した容器包材における4R対応は、30年までに100%の目標に対し、21年度は43.0%まで達成。ファンケル化粧品の植物由来・再生由来プラスチック使用率は、30年までに30%の目標に対し、21年度は17.6%まで達成した。

19年には、キリンホールディングスと資本業務提携を締結。容器包材の分野でも共同開発を行っている。具体的には、キリンビバレッジ工場で発生する不要なキャップをリサイクルし、「アテニア スキンクリア クレンズオイル」のエコパック包材に採用。「飲料キャップのリサイクルは化粧品業界で初めての取り組み」(安達主任研究員)で、各部品にもリサイクル材料を採用。22年度は年間販売数60万個のうち5.1トンの石油由来プラスチックを削減した。

さらに「キリン一番搾り生ビール」の製造工程で多く発生するビール仕込粕から抽出したヘミセルロース(植物の細胞壁に含まれる不溶性多糖類の総称)を用いて、植物由来の化粧品包材を製造。ファンデーションのレフィルの包装に採用した。

とはいえ、開発には試行錯誤を要した。初期段階のヘミセルロースシートは、茶色がかった色で、カラメルが焦げたような臭いがして、厚みも均一でなかった。そこで約1年をかけて、精製条件を調整し、色や臭いを抑制。ヘミセルロース配合率の調整により、均一な厚みを実現した。

「(完成したヘミセルロースシートは)化粧品に採用できる透明な包材で、輸送や落下から中身を守る強度があり、年間40万個(23年度の販売予定数)で1.6トンのプラスチック削減が可能になる」(安達主任研究員)。ヘミセルロースを用いた包材は「シルキーフィットUV ファンデーション レフィル」に採用し、23年3月から販売を開始した。

ファンケルでは、今後もプラスチック量削減の目標達成に向けて、ヘミセルロースのようなプラスチックを代替できる高機能な材料の開発に取り組むとともに、リサイクル材料の採用を拡大する。さらに1社だけではリサイクルのすべての工程を行うことはできないため、企業の枠を超えた協業を進め、環境に配慮した容器開発を推進していく。

© 国際商業出版株式会社