路線価 岡山2年連続前年上回る 23年分 再開発で土地需要高まる

42年連続で岡山県内の路線価最高地点となった岡山市北区本町、市役所筋(東側)

 広島、高松国税局が3日公表した2023年分の路線価は、新型コロナウイルス禍の影響緩和で人の流れや経済活動が回復し、中国地方の対前年の平均変動率は2年連続で上昇、四国地方は31年連続のダウンとなったが、下落幅が縮小した。県別では岡山、広島が2年連続で前年を上回り、香川は31年連続で下回った。最高路線価は岡山、広島、香川ともに上昇。中心市街地で再開発が進むなどし、土地需要が高まっている。

 岡山県の路線価は、5657地点の平均変動率が前年比1.3%増(前年は0.3%増)。上昇地点は岡山、倉敷市の中心部をはじめとする2915地点。全調査地点に占める割合は51.5%で、前年の29.1%から大幅に増えた。

 最高路線価は、岡山東税務署管内の「岡山市北区本町、市役所筋(東側)」の1平方メートル当たり164万円(前年比9.3%増)で2年連続の上昇となった。県内1位となるのは42年連続で、中国5県の税務署別では前年と同じ3位。前年からの上昇率は全国の県庁所在地の中でトップだった。

 県内13税務署別の最高は、岡山西管内がイオンモール岡山に近い「岡山市北区下石井1丁目、市役所筋(西側)」で前年比9.0%増の146万円。倉敷は「倉敷市阿知1丁目、倉敷駅前広場通り」で5.9%増の36万円だった。いずれも2年連続の上昇。津山は「津山市大手町、鶴山通り」で5万8千円。前年の下落から横ばいに転じた。

 西日本豪雨で被害を受けた倉敷市真備町地区の平均変動率も、特例として19年分から公表している。全域は前年比0.6%減(前年は0.2%減)と、2年連続で低下。大きな被害を受けた有井、岡田、尾崎、川辺、下二万、妹、辻田、服部、箭田の9地域の平均は0.7%減(同0.1%減)だった。

 県南の不動産鑑定士は「岡山市中心部では再開発やマンション建設が活発化。倉敷市では美観地区などで観光客が戻り始めたことで土地需要が回復し、全体を押し上げた」としている。

■広島1.4%増 中国5県、上昇地点4割

 広島国税局がまとめた中国5県の計2万303地点の平均変動率は前年比0.9%増(前年は0.3%増)となった。上昇地点は全体の約4割に当たる8082地点(前年5656地点)。うち岡山が2915地点(前年比1216地点増)、広島が3952地点(同771地点増)で、両県が8割以上を占めた。

 県別の平均変動率は、岡山1.3%増(前年は0.3%増)▽広島1.4%増(同0.9%増)▽山口0.4%増(同0.1%増)▽島根0.2%減(同0.4%減)▽鳥取0.3%減(同0.7%減)。

 最高路線価は、岡山、広島県とも2年連続で上昇。中国地方の最高路線価は「広島市中区胡町、相生通り(南側)」の1平方メートル当たり339万円(前年比3.0%増)で、14年連続で首位となった。備後地方は「福山市三之丸町、福山駅前通り(西側)」で、前年比4.9%増の43万円だった。

 管内50税務署別では岡山東、岡山西、倉敷、児島、福山など14署が上昇した。横ばいは西大寺、瀬戸、玉島、津山、玉野、笠岡、久世、府中といった24署。高梁、新見、庄原など12署で下落した。

■香川0.6%減 31年連続のダウン

 高松国税局が公表した四国地方の2023年分路線価によると、1万829地点を対象にした平均変動率は0.7%減。下落幅は22年分(0.9%減)から0.2ポイント縮小した。

 県別では香川は0.6%減(前年は0.9%減)で31年連続のダウン。徳島は0.7%減(同0.9%減)、愛媛は0.9%減(同1.1%減)、高知は0.3%減(同0.4%減)だった。

 四国の最高路線価(1平方メートル当たり)は、愛媛の「松山市大街道2丁目、大街道商店街」で67万円(前年比1.5%増)。他3県の最高地点は、香川が「高松市丸亀町、高松丸亀町商店街」の36万円(同2.9%増)、徳島は「徳島市一番町3丁目、徳島駅前広場通り」で29万円(同1.7%減)、高知は「高知市帯屋町1丁目、帯屋町商店街」で前年と同じ21万円だった。

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