土石流からの復興と並んで 注目されるのが「責任追及」の動きです。崩落した盛り土は、長年の間、放置されていましたが、2年がたっても「責任追及」が進まないことに遺族は憤りを覚えています。
酒井真理乃さん67歳。毎月、ふるさと熱海に足を運んでいます。
(母と弟を亡くした 酒井真理乃さん)
「物事も全然変化がない、気持ちは変わっていない」
酒井さんの母・佐江子さんと弟の幸義さん。幸義さんは、高齢の母の身を案じて還暦を過ぎて静岡・熱海市伊豆山に戻り、都内の勤務先へは新幹線で通っていました。しかし、2人は、2年前の土石流で帰らぬ人となりました。実家の庭にたくさんの花を植えていた母…
(母と弟を亡くした 酒井真理乃さん)
「母は本当に花が好きだった」
伊豆山に帰る場所はもうありません。結婚してから東京で暮らす酒井さん。土砂の中から見つかった2人の遺品。母がいつも持ち歩いていた手帳もありました。
(母と弟を亡くした 酒井真理乃さん)
「結構やることをまめに書いていた」
明るく活発で、ボランティア活動にも積極的に関わってきた母。遺品は帰ってきましたが、心の整理はついていません。
(母と弟を亡くした 酒井真理乃さん)
「本当に何も進んでいない、空白」「いろいろなことが起こっているが、私の中では時間が止まっている、熱海に帰っても何もできない」
母と弟の命を奪った盛り土には、規制を大きく上回る土砂が積み上げられていました。酒井さんは、ほかの遺族らと盛り土があった土地の現在と前の所有者、県と熱海市などに損害賠償を求める裁判を起こしています。ところが、誰も責任を認めず謝罪もありません。なぜ、盛り土は造成され、大規模な崩落を防げなかったのか。真実を明らかにしなければ前に進めないと考えています。
(母と弟を亡くした 酒井真理乃さん)
「何も進展がない、責任逃れのことばかり言っている」「やっぱり(責任を)認めてほしい、ちゃんと手続きしなかったこと、どんどん先送りにしたこと、起こるべくして起こった」
2年がたっても先が見えない中、遺族は盛り土が崩落した責任を追及し続けています。