地域クラブが中総体に初参戦 部活の地域移行で 県大会進出枠の変更、競技の継続可能に…影響さまざま

南あわじ相撲道場に所属して県中学総体に出場予定の苔口遥真(右)=姫路市の網干南公園相撲場

 本年度から公立中学校で運動部活動の地域移行が始まり、兵庫県中学校総合体育大会(総体)の予選から地域クラブが初参戦している。14競技に計105団体が参加する見通しで、県総体進出枠の変更や、民間の相撲道場の復活など、さまざまな影響が出ている。

 女子のみ実施しているソフトボールでは、県総体の出場枠が議論になった。県中学校体育連盟(中体連)ソフトボール部によると、例年なら県内8地区の上位2校、計16校が県総体に進むが、新たに有力な地域クラブ1チームが東播地区での参加を決めたためだ。

 地域クラブを別枠とし、県総体出場枠を「17」とする案も出たが、開催日を増やすか、従来の2日間なら決勝進出チームは1日3試合を戦う必要が生じるため、生徒への負担を考慮して「16」を維持することに。続いて地区別のエントリー数を踏まえて検討し、地域クラブを含めて最多の20チームに上る東播地区を3枠に増やし、出場3校の淡路地区を1枠に減らすことで調整した。

 高木匡専門委員長は今回の判断を特例と強調し「これを前例とすると、出場数が少ない地区が減ることになる。今回の試みを検証したい」としている。

     ◇

 相撲では、道場の復活劇があった。

 南あわじ市立南淡中1年の苔口遥真は、競技を続けたいと希望していたが、学校の相撲部は休部中。教員の働き方改革によって再開の見込みがない状況を知った南あわじ相撲道場の江本典隆監督が、休眠状態だった民間の道場を再建し、受け入れを決めた。

 苔口は県総体を見据えて稽古に励む。南あわじ市は角界に元幕内の照強を送り出し、江本監督自身も2006年の兵庫国体に成年男子の選手として出場するなど相撲がさかんな地域だ。江本監督は「彼が相撲を続けるなら島外だった。そんな時に地域移行の話が出てきて光が見え、私の相撲人生もちょっと伸びた。歴史をつないでいきたい」と喜んでいる。

     ◇

 全国中体連は地域移行の動きに合わせ、全国中学校体育大会の運営を見直した。参加条件に「監督は教員」と定めていたが、本年度から江本さんのような外部指導者も監督として認めた。近畿中体連、兵庫県中体連も同じ対応を決定。監督になった外部指導者は引率もでき、教員の負担軽減が期待される。(有島弘記)

© 株式会社神戸新聞社