31年ぶり上昇 茨城県内路線価 つくば駅前最高額 上昇幅最大は守谷駅西口

上昇幅が県内最大だったTX守谷駅西口ロータリー周辺=守谷市中央1丁目

関東信越国税局は3日、相続税や贈与税の算定基準となる2023年分(1月1日時点)の路線価を発表した。茨城県内の平均変動率は前年比プラス0.4%で、31年ぶりに上昇に転じた。つくばエクスプレス(TX)沿線の上昇が顕著で、全体を押し上げた。最高路線価は土浦税務署管内の「つくば駅前広場線」(同県つくば市吾妻1丁目)で、1平方メートル当たり31万円。6年連続の上昇で、9年連続で県内トップとなった。

県内は約6600地点が評価対象で、8税務署のうち、最高路線価が上昇したのは土浦、竜ケ崎、太田の3税務署だった。

最も上昇幅が大きかったのは、竜ケ崎税務署管内の「守谷駅西口ロータリー」(同県守谷市中央1丁目)で、前年から11.8%上昇し、19万円だった。上昇は7年連続。北関東と信越の計6県を管轄する同国税局管内で2番目に高い上昇率となった。

守谷駅前の同所は、隣接県に比べ割安感がある上、東京・秋葉原方面への始発本数も多く、乗降客が集まる。周辺の人口増加や新規テナントビル建設もあり、土地の需要が続く。

土浦税務署管内の「つくば駅前広場線」(つくば市吾妻1丁目)はプラス5.1%で、6年連続の上昇。筑波研究学園都市の中心部で、周辺に土地の供給力が残っていることなどから、企業の本社用地やマンションの進出も多く、地価が上昇基調で推移している。

水戸、古河、日立、潮来4税務署の最高路線価の変動率は前年から横ばい。水戸税務署管内の「水戸駅北口ロータリー」(水戸市宮町1丁目)は22万円で、2年ぶりに横ばいに転じた。周辺でマンション需要が高く、生活インフラも整っており、前年のマイナス2.2%から回復した。

古河税務署管内の「県道古河停車場線」(同県古河市本町1丁目)は11万円。周辺でマンションの高額取り引きが目立っていることなどから維持につながった。

一方、下館税務署管内の「県道下館停車場線」(同県筑西市丙)は1.9%下がって5万3千円で、3年連続の下落となった。JR下館駅北口前の商店街近くに位置するが、空き店舗が放置されるなど、集客性の低下などから地価の下落基調が続いている。

調査に携わった不動産鑑定士の羽場睦夫氏は県内路線価について「TX沿線が好調で、不動産価格も上昇している。一方で東京方面に直接アクセスできる交通手段がない地域は厳しい」と分析。同時に「下がり続けてきた水戸駅周辺で回復が見られ、今後の県全体の動きを注視したい」と話した。

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