火災犠牲者、岩手県内で増加 目立つ高齢者の家、対策が急務

 

 岩手県内で火災による犠牲者が増えている。今年は5月末時点で21人(速報値、前年同期比9人増)が亡くなり、早くも昨年1年間の計25人に迫るペースで推移する。高齢者が暮らす家から未明または朝方に出火し、巻き込まれるケースが目立つ。火災の発生件数は既に前年同期を上回っており、消防関係者は就寝中の逃げ遅れを防ぐ火災警報器の点検など、身近でできる対策を促している。

 盛岡市では2日午後、木造2階建ての住家の一部を焼き、焼け跡から男性1人の遺体が見つかった。3日午後5時15分ごろには岩泉町大川の男性(69)方から出火。木造平屋の住家1.5平方メートルを焼いた。岩泉署によると、けが人はなかったが、ブレーカー周辺が焼けたといい原因を調べている。

 県によると、5月末時点の死者21人は過去10年の同期では2015、17年と並んで最多。21人のうち自殺とみられるケースを除くと高齢者が14人、体が不自由な人は2人だった。火災は同月末時点で202件(前年同期比23件増)、内訳は「建物」が109件(同14件増)と最も多い。

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