水辺の植物ハンゲショウ(半夏生)が梅雨空の下、兵庫県稲美町野寺の辰巳池で葉を白く染め、涼しげなたたずまいを見せている。同池周囲には、綿毛が伸びたような紅色の花を咲かせるネムノキも見頃を迎えている。
ハンゲショウはドクダミ科の多年草。花が咲く8月にかけて葉の半分ほどがおしろいを塗ったように白く染まることから「半化粧」「片白草」とも呼ばれる。白くなるのは花の受粉を促すのに虫を引き寄せるためとされる。
県のレッドデータブックではCランクに指定されている希少種で、辰巳池の周辺でも数は少ない。草花に詳しい稲美町の大路敬子さん(76)は「開発や池の整備などで近年、減ってしまった」と残念がる。
ネムノキは辰巳池の周囲に数本ある。葉は朝日を浴びると開くが、夜には閉じるため名前の由来となった。樹高は6~9メートル。ふんわりとした花は絹糸のように繊細で、英名では「シルク・ツリー」と呼ばれている。10日ごろまで観賞できる。 (笠原次郎)