FIA、F1カナダGPでのペナルティに関するマクラーレンの再審請求を却下。提出された証拠に新事実はないと判断

 2023年F1第9戦カナダGPでランド・ノリス(マクラーレン)が“スポーツマンシップに反する行為”でペナルティを科された件について、FIAはマクラーレンF1チームからの再審請求を却下した。

 ノリスはレース中、マクラーレンがダブルピットストップを行えるように、セーフティカー導入中にチームメイトのオスカー・ピアストリとの差をつけるために減速したとして、5秒のタイムペナルティを科された。この作戦はスチュワードによって調査されたが、最終的にノリスはウイリアムズのアレクサンダー・アルボンの進路を妨害し、“スポーツマンシップに反する行為”を行ったと判断された。

 ペナルティによってノリスはポイント圏外に脱落したため、マクラーレンはFIAに“重要かつ新たな関連情報”を提出して異議を唱えた。チームはなかでも、ノリスの行為は過去には受け入れられていた通常範囲の行為であることを主張。また、アルボンがノリスの行為によって結果として順位を落とすことはなかったことを、証拠とともに示した。そして、ギャップを広げ、ライバルにマイナスの影響を及ぼしながらもペナルティを受けなかった事例に関する映像、音声、GPSの証拠も提出した。

2023年F1第9戦カナダGP ランド・ノリス(マクラーレン)

 日曜日の朝にレッドブルリンクで行われた公聴会で、FIAは、マクラーレンが提出した証拠にはノリスのケースに何かしらの新事実、重要性、および関連性を加えるものはないと結論づけた。

「議論や非公式な“紳士協定”などは、たとえ関係者による善意のものであっても、それがレギュレーションに加わらない限りは、拘束力を持たない」とFIAは日曜日に声明のなかで述べた。

「第12条2.1.iによると、オフィシャルは例として、レースディレクターのメモによってのみ特定の事項を明らかにすることができる。こうした明確化は既存のレギュレーションと矛盾することはできない」

「過去のケースを引用することは、我々の考えではこの特定のケースとは無関係だ。ペナルティが適用されなかったケースもあれば、ウイリアムズが言及したようなペナルティが適用されたケースもある。各インシデントはたとえ些細なことであっても、あらゆる側面で違いがある」

「最も重要なことは、当初のペナルティは不当な行為とみなされたことに対して適用されたということだ。引用されたケースのなかには、このような不当行為の問題を扱ったものはなかった」

「この件は今後の控訴の対象とはならない」

 これについてマクラーレン側は、「我々は、2023年カナダGPでランド・ノリスが5秒加算ペナルティを受けたことについて、FIAとスチュワードの決定を尊重する」と語った。

「しかしながら、我々は”再審請求”を正当化するのに十分な、重要で関連性のある新証拠を提出したと考えている」

「我々は、この証拠がスチュワードの要求を満たしていなという彼らの決定を受け入れる。これは我々が望んだ結果ではないが、スチュワードの時間と協力に感謝する」

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