汗っかきではなく多汗症かも?汗が吹き出る原因やセルフケア方法を紹介

「手汗がひどくてハンカチが手放せない」

「緊張すると大量の汗が吹き出す」

「汗をかくことが心配で、仕事や勉強に集中できない」

このような悩みをかかえていませんか?

大量の汗で日常生活に支障が出ている場合、汗かき体質ではなく「多汗症」になっているのかもしれません。

今回は、汗が吹き出る原因や、汗を抑える工夫について、薬剤師がご紹介します。

1. 多汗症とは?

多汗症とは、全身、もしくは手のひらや脇、足のうらなどの限定した部位に、日常生活に支障が出るほどの過剰な発汗が見られる病気です。

1-1. 多汗症の種類と原因

多汗症は、汗が出る部位と、原因の有無で分けられます。

汗が出る部位別では、全身に汗をかく「全身性多汗症」と、からだの一部に限定して汗をかく「局所性多汗症」に分類されます(※1)。

また、原因が明らかなものを「続発性多汗症」、原因不明のものを「原発性多汗症」といいます(※1)。

全身性多汗症の原因には糖尿病や神経疾患などが挙げられます。一方、局所性多汗症の原因は緊張や不安などが考えられます。

##

1-2. 多汗症の重症度分類

多汗症の重症度は、日常生活でどれくらい困っているかで決まります。

具体的には、以下の「Hyperhidrosis disease severity scale(HDSS)」と呼ばれる4段階の分類を用いて判定します(※2)。

(1)発汗に気付かず、日常生活に全く支障がない。

(2)発汗を我慢できるが、日常生活においてたまに支障が出る。

(3)発汗にどうにか耐えられるが、頻繁に日常生活に支障が出る。

(4)耐えがたい発汗で、常に日常生活に支障が出ている。

上記のうち、(2)~(3)が治療の対象となることが多く、(3)~(4)は重症の指標です。

2. 私の症状って多汗症?セルフチェックリスト

ここでは、原因がはっきりしない原発性多汗症のセルフチェックリストを紹介します。

明らかな原因のないまま、過剰な発汗が6か月以上認められ、次の6つの項目のうち、2つ以上当てはまる場合は多汗症だと考えられます(※2)。

・最初に症状が出たのは25歳以下

・発汗が左右対称にみられる

・寝ている間は発汗が止まっている

・多汗の発生が1週間に1回以上ある

・多汗症の家族歴がある

・それらによって日常生活に支障をきたす

多汗症かもしれないと感じた方は、皮膚科や形成外科に相談してみましょう。

3. 汗を止めるにはどうしたらいいの?自分でできる対処法

ここでは、吹き出す汗を抑えるために、自分でできる対処法を3つ紹介します。

3-1. 交感神経を刺激する食材を控える

カフェインやスパイスなど、交感神経を刺激する食材や食事を摂ると汗をかきやすくなるため、なるべく控えましょう。

カフェインも刺激物と同じく交感神経を優位にするので、コーヒーや紅茶などもできるだけ避けることをおすすめします。

3-2. 塩化アルミニウムが配合された制汗剤を使う

塩化アルミニウムは、汗を出す汗腺を塞ぐ働きをもち、過剰な発汗を抑える作用が期待できる成分です。

適量を手に出して使うローションタイプや、皮膚に直接塗れるロールオンタイプなどもあります。

3-3. 発汗を抑えるツボを押す

発汗を抑えるツボである「液門(えきもん)」を紹介します。

液門は、手の甲の、薬指と小指の間の水かき部分にあるツボです。発汗に影響する交感神経の働きを抑えて副交感神経を優位にさせる働きがあります。

4. 多汗症対策には漢方薬もおすすめ!

吹き出る汗を抑えるには、食事の工夫やツボ押しなどに加えて、漢方薬の活用もひとつの方法です。

多汗症の原因には、精神的な緊張や不安、薬の副作用、糖尿病や神経障害などが挙げられます。

また、多汗症対策には、

・ストレスで乱れた自律神経を整える

・体内の水分バランスを整えて過剰な汗を抑える

・からだに不足したエネルギーを補い、必要な水分を体内にとどめる

・熱が体内にこもるのを防ぎ、大量の汗を防ぐ

などの作用をもつ漢方薬を選びます。

漢方薬は不調の原因に内側から働きかけるため、吹き出る汗を根本から対策できるでしょう。

ここでは、多汗症対策におすすめの漢方薬を2種類紹介します。

<多汗症対策におすすめの漢方薬>

・防已黄耆湯(ぼういおうぎとう):からだの水分バランスを整えることで、過剰な汗を抑え、多汗症に効果があります。汗をかきやすく、色白でむくみやすい方におすすめです。(※3)

・柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう):体内のエネルギーを巡らせることで、たまった熱を冷やして気持ちを落ち着かせる漢方薬で、ストレスによる不安やイライラ、不眠、動悸などに用いられます。(※4)

漢方薬を選ぶ際に重要なポイントは、自分の症状や体質に合ったものを選んでいるかどうかです。症状や体質に合っていないと効果を感じられないだけでなく、場合によっては副作用を招く可能性もあります。

しかし、どの漢方薬が適しているのかを自分自身で見極めることは、なかなか難しいですよね。最近では、AI(人工知能)を活用した「あんしん漢方」のようなオンライン相談サービスも登場してきました。

AIを活用し、漢方のプロが自分に適した漢方を見極めて、お手頃価格で自宅に郵送してくれる「オンライン個別相談」が可能です。ぜひ活用してみてください。

あんしん漢方

5. 吹き出る汗を抑えて快適な日々を過ごそう

大量に吹き出る汗を抑えるためには、交感神経を刺激する食べ物を控えたり、塩化アルミニウム配合の制汗剤を使ったりすることに加えて、専門家の指導のもとでの漢方薬の活用も選択肢のひとつです。

大量の汗で日常生活や仕事などに支障が出ている場合は多汗症の可能性もあるので、無理せず医療機関に相談してみてくださいね。

参考文献

(※1)原発性局所多汗症診療ガイドライン 2023 年改訂版

(※2)多汗症 慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト

(※3)くすりの適正使用協議会 くすりのしおり「ツムラ防已黄耆湯エキス顆粒(医療用)」

(※4)くすりの適正使用協議会 くすりのしおり「ツムラ柴胡加竜骨牡蛎湯エキス顆粒(医療用)」

<この記事を書いた人>

あんしん漢方薬剤師
稲嶺 千春(いなみね ちはる)
北陸大学薬学科卒業後、製薬企業や調剤薬局に勤務。
様々な経験をする中で、対症療法ではなく、漢方による根本治療の大切さを実感する。漢方薬の力をより多くの方に広めるために、漢方のプロがAIを活用して自分に適した漢方薬を選び、お手頃価格で自宅に郵送してくれる「あんしん漢方」で情報発信をしている。
あんしん漢方(オンラインAI漢方)

© モードメディア・ジャパン株式会社