5歳の子どもが「お金ちょうだい」 ナイル川で感じた理不尽を解消するために世界や地域を奔走!

新年度が始まってから約2ヶ月。バタバタと忙しい日々が落ち着き、何か新しいことに挑戦してみたい!と、思う人も増える時期ではなかろうか。そんな今回はJICA海外協力隊としてモンゴルに派遣され、コミュニティ開発という職種で活動を行っていた、岡山県和気郡和気町で変哲塾を主催する中村哲也さんに話を聞いた。
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時には馬に乗って羊を追いかける手伝いもした

「自分の目で見なければ分からないことだらけだった。」JICA海外協力隊としてモンゴルに派遣された当時のことを、中村さんはそのように振り返る。コミュニティ開発という職種で、コミュニティセンターを拠点に地域活性化のための活動をする予定だったが、現地に派遣されると、なんと配属先である役所の担当者が全員人事異動で入れ替わっていた。コミュニティセンターについて尋ね回っても、誰もその存在を知らない。まず、自分がなぜ派遣されたのかを説明するところから始めなければならなかった。

中村さんは、モンゴルの人々のために自分には何ができるのか必死に考えた。現地の人と一緒にご飯を食べ、時には馬に乗って羊を追いかける手伝いもした。そうした関わりあいの中で、様々な課題や、それを解決するためのアイデアが浮かんできた。

その中でも力をいれたのがコンポストトイレの普及だった。モンゴルでは一般的に肉食文化で、野菜を取ることが少ないため、肥満率が高く平均寿命も短い。健康のために野菜を作ろうと、農業に取り組む人も多く、その一助となればと、現地で活動するNGOと協力しながら、コンポストトイレの普及活動を行った。

コンポストトイレ普及の様子

世界から地域へ

協力隊の任期を満了しモンゴルから帰国後、縁あって、岡山県和気町の地域おこし協力隊として、地域の学校で子どもたちの教育に携わることになった。ある日、学校の子どもの一人に「丸一日好きなことしていいっていわれたら、なにをする?」と尋ねた。何とはなしに聞いた質問だったが、その子は意外にも答えに窮してしまった。普段から学校や習い事で1週間のスケジュールがびっしり埋まっていたその子は、自分が好きなことは何か、考えられなくなってしまっていたのだ。中村さんは衝撃を受けた。

「世界から理不尽をなくしたい!」という想いで留学やJICA海外協力隊に挑戦した中村さんだったが、和気町での経験から新たな気持ちが芽生えた。「日本人はいつのまにか、自分の人生を自分で決められなくなってしまった。自分の人生を自分事にできていないのに、世界の課題を自分事として捉えられるはずがない。」そうした日本の現状を変えたいと思い、現在は平和学と国際協力について学ぶ『変哲塾』を主宰している。『変哲塾』では、塾生たちが一方的に何かを教わるのではなく、中村さんが投げかけたテーマに対して塾生自身が考え、議論し、判断する。

JICA中国へのフィールドワークで民族衣装に身を包む塾生たち

着いたところが目的地

中村さんが塾生たちに対して心掛けているのは、押し付けないこと。あくまでこれは自分の意見、あなたはどう考える?あなたはどうしたい?と問う。もちろん、いきなりすべてができるようになるわけではないし、迷うことだって沢山ある。「でも、とにかくやってみてほしい。失敗は学ぶきっかけになる。」着いたところが目的地といって笑う中村さんは現在、モンゴルへのスタディーツアー企画を計画中。変哲塾やそこで学ぶ塾生たちは、今後どのような変化を遂げていくのだろうか。

舗装されて整備された道を歩くわけではなく、目的地に向かってここを整備しようと決め、開拓するわけでもない。世界の今に目を向け、自分たちにできることから始めていく。自分は世界のために何ができるのか。それを自ら考え、実践していく、将来の塾生たちの姿が目に浮かぶ。

変哲塾での授業風景

※自分で考え実践していく場としてJICA海外協力隊にご関心がある方は、JICA中国およびお住まいの地域のJICA国際協力推進員がいつでも相談に乗りますので、お気軽にご連絡ください。

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