KDDIなど3社、大規模マンションでのロボット配送実証実験を実施

同実証実験では、プラウドシティ日吉居住者から実験用ECサイトを通じて約100件の注文を受け、ロボットがプラウドシティ日吉の商業施設から各住戸の玄関前まで商品を配送した。同実証実験の結果を踏まえ、今後はエレベーターとの自動連携や、雨風対応が可能なロボットの導入を検討していくという。

同実証実験の背景

2030年の日本においてはサービス業を中心に労働力が不足すると推定されている。特に配送業においては、2024年問題に代表されるようにドライバーの不足が見込まれる一方、日常的に買い物に費やせる時間の少ない共働き世帯や外出が困難な高齢者のみの世帯が増加し、今後ますます配送の需要が高まることが想定されている。

KDDI、KDDI総合研究所は配送、清掃、見回りなどさまざまなサービスでロボットを活用するための取り組みを行っている。野村不動産ホールディングスでは、利便性の高いサービスを通じた住宅居住者への新たな価値提供、デジタルを活用した配送技術・枠組みを通じた商業施設入居テナントに対する販促支援サービスの提供を目指しているという。

これらの経緯を踏まえ、買い物の負担が無い未来の実現のため、2022年2月から3社で「ロボットを用いた商品配送に係る実証実験」を3つのフェーズで進めている。

フェーズ1では2022年2月にスタッフのみでの配送サービスを確認。今回のフェーズ2ではスタッフとロボットによる配送サービスを実施した。今後、フェーズ3では、ロボット単独による配送サービスを検討していく。

同実証実験の概要

同実証実験を通じて、ロボットを活用した商品配送が、労働力不足の解決や住宅居住者への新たな価値提供に貢献するかということについて評価した。また、マンション内のエレベーターなどを利用してロボットを活用した商品配送における技術的な課題の抽出を行った。

実証実験の結果

(1)ロボット配送に対する住民の受容性について

同実証実験参加者の86%は、初めて商品配送サービスを利用したということだった。同実証実験を通じ、ロボットに対する好意的な意見やニーズがあったことから、ロボットを用いた商品配送に受容性があることがわかった。将来、人の代わりにロボットが商品配送を行うことで労働力不足の課題解決に寄与することが期待できるとした。

[参加者の声]

  • 共働きで子供が2人いる家庭では、大変便利だった。ごはんを作る余裕やおやつがない時に利用した
  • ロボットの瞬きが可愛かった
  • ロボットを見せることができ、子どもたちに良い経験をさせることができた
  • 注文したが雨が降っていてロボットに来てもらえず、スタッフによる配送だったのが残念

(2)ロボット配送の所要時間について

エレベーターの待ち時間などを含めたマンション内の商品配送にかかる時間は1注文あたり約30分(ロボット走行速度0.7から1.0メートル/秒)という結果だった。複数の注文を1度の配送で処理するなど、配送の効率化が課題となった。

(3)ロボット配送のピークタイムについて

注文数は9-10時台、18-19時台が多かった。遅めの朝食や夕食の時間の利用が多かったと想定される。注文の混雑時間と閑散時間を考慮したロボットの配備が課題となった。

今後の取り組みについて

同実証実験の結果を踏まえ、注文の混雑時間と閑散時間を考慮したロボット配備計画の検討を進めるとともに、複数注文の1度での配送処理、エレベーターとの自動連携、風雨への対応などが可能なロボットの導入を検討していくという。3社は今後も、取り扱い商品・店舗を拡張し、新しいライフスタイルをサポートするロボット配送サービスの実現を検討していく方針。

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