横浜・山下ふ頭再開発 検討委員に事業者側の藤木氏

再開発構想の具体化が進められる山下ふ頭。2030年ごろの利用開始を目指している=22年9月撮影、横浜市中区

 山下ふ頭(横浜市中区)の活用方法を話し合う再開発検討委員会の人選で、市が一般社団法人横浜港振興協会(同)の藤木幸夫会長(92)に委員就任を打診し、内諾を得たことが4日までに分かった。市は検討委の意見に基づいて開発計画の具体化や事業者の選定を進める方針だが、藤木氏は開発事業への参画に意欲を示す「選ばれる側」でもあり、市の判断に疑念の声が上がっている。

 市が2月に制定した条例を設置根拠とする「山下ふ頭再開発検討委員会」は、学識経験者と地域の関係者ら最大20人で構成。まちづくりの方向性や導入施設などについて約1年間協議し、取りまとめた意見を市長に答申する。市は委員の選定を急いでいるが、今春の予定だった初回会議の開催日は未定となっている。

 関係者によると、市は藤木氏に対し、約510の企業などでつくる横浜港振興協会の会長として就任を働きかけ、内諾を得たという。長らく港湾事業者の顔役を担い、横浜港の発展に尽力してきた重鎮とあって、市関係者の一人は「ごく自然な判断」と説明する。

 だが、藤木氏は同ふ頭の再開発で独自の事業構想を公表している一般社団法人横浜港ハーバーリゾート協会(YHR、同)の会長でもある。2019年5月に自ら設立したYHRは既に、国際展示場やコンサート場、水素エネルギーセンター、ホテルなどを新設するプランを提案している。

 市は今後、検討委の答申を踏まえて事業計画案を策定。一定の条件を設けて開発事業者を公募し、選定作業を進める流れを描く。藤木氏が検討委に入ると、「選ばれる側」のトップが「選定基準の土台づくり」に関与する形になる。

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