姿消すレンタル店 県内、閉店や業態転換続く

レンタル事業を取りやめ、大規模改修する明文堂書店富山掛尾店=富山市掛尾町

  ●ネット動画配信台頭

 富山県内でDVDなどの貸し出し事業を展開するレンタルビデオ店が需要の低迷で撤退を迫られている。インターネットの有料動画配信市場が急速に拡大したためで、閉店や業態転換で経営存続を図る。富山市中心部でも明文堂書店富山掛尾店が年内にもレンタル事業を取りやめるなど、国内外の多様な作品を手軽に楽しめることで人気を集めてきたレンタルビデオ店が姿を消している。

 明文堂書店富山掛尾店は2階でDVDやCDのレンタル、1階で文具、書籍を取り扱う。運営する明文堂プランナー(朝日町)によると、今夏から2階全体と1階の一部で大規模改修を行い、年明けから別の業態で営業を始める。レンタル事業は取りやめ、書店は規模を縮小して続ける。

 担当者は有料動画配信サービスの台頭を理由に挙げ、「レンタルの売り上げは右肩下がり。人件費の高騰もあり、採算が取れない」と説明した。

 日本映像ソフト協会の調査では、2007年に3604億円だったレンタル市場は年々減少し、22年には572億円となった。一方で、有料動画配信は16年に1千億円を突破し、22年に5504億円と急成長した。

  ●全国的に衰退

 映像メディア総合研究所(埼玉)によると、2015年に米大手の動画配信サービス「ネットフリックス」や「アマゾン・プライム・ビデオ」の提供が日本で始まり、消費者の需要がレンタルビデオから移行。全国的にレンタル事業の衰退が進んだ。

 同協会に加盟するレンタルビデオ店の数は1990年12月の1万3529店をピークに減り続け、今年6月時点で2455店となった。

 県内のレンタルビデオ店でも閉店や業態転換の流れが続く。明文堂書店は今年1月に魚津市の魚津店を閉店。砺波市のTSUTAYA砺波店も6月末で営業を停止した。

 文苑堂書店(高岡市)は、レンタル事業を行う店舗が10年前に7店舗あったが、現在は4店舗に減らした。レンタル事業を取りやめた店舗は、インテリア雑貨やコミック本を販売する業態に切り替えた。

 映像メディア総合研究所の四方田浩一代表は「1年当たりの映像レンタル店の減少数が増えている。レンタルが売り上げの柱という店は、もう成り立たないだろう」と話した。

日本映像ソフト協会調べ

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