海洋放出「夏頃の方針に変更はない」と官房長官

 東京電力福島第一原発事故で毎日増え続ける放射性物質による汚染水(約130万トン)をALPS処理し、海洋に放出することについて、公明党の山口那津男代表は「風評被害を招かないことが大事。直近に迫った海水浴シーズンなどは避けた方が良いのではと思っている」と政府に慎重な対応を求める発言を2日に行ったのに関し、松野博一官房長官は3日の記者会見で政府が従前決めた今年夏頃の放出方針に「変更はない」などと答えた。

 山口氏は「いたずらに不安を招かないように配慮するということはあってしかるべき」との考えを示している。

 海洋放出を巡っては、国際環境NGOグリーンピースは「ALPS処理水には『トリチウム』のほか『ストロンチウム90』『炭素14』などの放射性物質が基準値をこえて残留している。いくら海水で薄めても、海に流れ出る放射性物質総量が減るわけではない。廃炉の目処が立たない東電福島第一原発では最終的にどれくらいの放射能汚染水が出ることになるのかもわかっていない」と指摘。

 「いったん放出した放射性物質は決して回収できない。何世紀にもわたって環境を汚染し続けるものを海に捨ててもいいのか。放射能汚染水の意図的な海洋放出は行わないこと、放射能汚染水は陸上で長期保管し、トリチウム分離技術を開発適用すること」を求めている。海洋へのALPS水放出には地元漁連も反対している。(編集担当:森高龍二)

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