山田錦支える「東条川疏水」アートでPR、魚やカエル描いた旗100枚超 おもちゃ王国の拠点一新

東条川疏水にすむ魚やカニ、カエルなどを描いた旗を眺める子どもたち=加東市黒谷

 兵庫県加東、小野、三木市の農地約3千ヘクタールに張り巡らされた水路網「東条川疏水(そすい)」の魅力を伝えようと、東条湖おもちゃ王国(加東市黒谷)内に設けられた情報発信拠点がリニューアルされた。名称も「東条川疏水アートプロジェクトコーナー」に一新。疏水にすむ魚やカニ、カエルなどを描いた旗100枚以上を飾り、親しみやすさを演出している。4日には記念式典があり、地元の園児が旗を追加して作品を仕上げた。(岩崎昂志)

 東条川疏水は流域の水不足対策のため整備され、鴨川ダム(同市黒谷)を主な水源とし、水路網は全長108キロに及ぶ。地域を代表する酒米・山田錦の生産を支え、水道水にも利用されている。2006年には「疏水百選」に選ばれた。

 県などでつくる東条川疏水ネットワーク博物館会議は情報発信の一環として15年、おもちゃ王国内にインフォメーションコーナーを開設。これまでも魚や山田錦、水路網などを描いた展示をしており、新たな作品追加でアートによる魅力発信を強化する。

 旗の展示「フラッグ100」は神戸芸術工科大学の谷口文保准教授(51)=造形美術=が監修。ワークショップなどで昨年度から準備を進め、学生や地域住民ら延べ100人以上が参加した。白い布地に、型枠を使って着色するステンシル技法で制作。青やオレンジ色の美しい濃淡を施され、ユーモラスな表情を浮かべた生き物たちが、高さ180センチの柱で生き生きと揺れる。

 式典には関係者ら約40人が出席し、加東市の米田こども園、鴨川保育園の園児13人が旗を飾り付けた。女児(5)は「(絵本の)スイミーみたいな旗がかわいい」と目を輝かせた。谷口准教授は「さまざまな表現を体験できる空間にする。アートの力で、東条川疏水を知るきっかけをつくりたい」と話した。

© 株式会社神戸新聞社