上曽トンネル貫通祝う 茨城・石岡-桜川、25年度供用へ

石岡市と桜川市の両市長らが鏡割りで貫通を祝った=上曽トンネル(仮称)の坑内

茨城県石岡市上曽と同県桜川市真壁町山尾をつなぐ上曽トンネル(仮称)の本体工事貫通式が4日、トンネル坑内で開かれた。谷島洋司石岡市長、大塚秀喜桜川市長や県議、両市議、施工業者らが出席し、調査開始から30年以上かかった念願のトンネル貫通を祝った。

上曽トンネルは、交通の難所・上曽峠に代わる交通網で、県内の物流と観光の基軸路線になると期待が寄せられている。県西・県南地域と太平洋沿岸の港湾や茨城空港などとの相互アクセスを向上させ、筑波山地周辺の回遊性を高めるのが狙いだ。

トンネル全長は3.538キロ。開通すれば北関東自動車道の岩瀬トンネル上り線(全長約2.82キロ)を抜き、県内最長の道路トンネルになる。2025年度の供用開始を予定。

トンネル整備は1995年度に事業着手したが、巨額の事業費などから事実上休止となった。20年後の2015年度から事業再開に向けて両市が協議を進め、18年に県の合併市町村幹線道路緊急整備支援事業支援対象道路の指定を受け、国の財源を活用した事業として再スタート。20年に工事を開始し、石岡工区(1.939キロ)の軟弱地盤や湧水などの難題を克服しながら、今年5月9日の貫通にこぎ着けた。

貫通式は、石岡工区と桜川工区(1.599キロ)がつながった未舗装のトンネル坑内で開かれ、関係者による清めの儀、通り初めなどが行われた。

谷島市長は「コロナ禍の厳しい施工環境の中、岩盤や水などの難局を一つ一つ乗り越えてこの日を迎えた。大きな一歩」、大塚市長は「トンネル化は両市の長年の懸案だった。県西・県南地域の交流促進、茨城の発展にも効果をもたらすことを確信している」とあいさつ。施工者を代表して大林組の東出明宏東京本店土木事業部長が「繁忙期はまだまだ続く。安全最優先で施工者一丸となって対応していきたい」と謝辞を述べた。

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