東京都とスタートアップが交流会 連携推進へ

東京都や都内の自治体が力を入れるスタートアップ支援についてです。スタートアップとは「新しいビジネスモデルを考え、新たな市場を開拓し、社会に新しい価値を提供する企業や組織」のことです。このスタートアップ企業と都の職員の交流会が行われ、小池知事は、連携の一層の推進に向けた意欲を示しました。

約40社が参加したこの交流会は、都が去年掲げたスタートアップ企業との協力事業を5年で10倍にするという目標の達成に向けた取り組みです。会場の様々な場所で、都の職員が解決したい課題を説明し、水道局の職員はAIでの問い合わせ対応や貯水池でのドローンの活用法について相談していました。また会場では各社がブースを出展し、イラスト入りの地図に、GPSを活用して自分がいる位置を反映できるサービスなど、独自の技術や商品を職員にアピールしていました。

会場を視察した小池知事はスタートアップとの協働について、「ワンチームで進めたい」と一層、推進していく方針を示しました。

小池知事:「民間と行政がワンチームになって都民のニーズ、困りごと、産業のこれからのあるべき姿を集積して、世界に通用するイノベーションをこの機会に作り出していきたい」

一方、墨田区でもスタートアップ支援の取り組みが。墨田区が開催したのは、社会問題を解決するための事業を決定する区内の学生起業家によるコンテストです。スタートアップの支援と、行政の課題解決を目指すもので、エントリーした10社から最優秀賞に選ばれたのは、一般社団法人の「Spice」。子どもたちの防災教育に数学を取り入れるという提案を行いました。

千葉大学の大学院生が今年4月に立ち上げた「Spice」は、小・中・高校生を対象に避難所で快適に過ごす方法や、安全な避難方法などを考えるワークショップや学校で使う教材の開発を行っていきたいとアピールしました。

Spice代表理事 郡司さん:「防災教育は進んではいると思うんですけど、今回、数学と掛け合わせることで、プログラミング教育も関連するようなところが引き出せるかなと思うので。子どもたちがのめり込んでもらえるようなワークショップや教材開発を進めていきたいと思います」

Spice代表理事 小牧さん:「妄想のレベルだったものを墨田区のおかげで実現できるというのは、本当にありがたいです」

最優秀賞のスパイスは、今後、墨田区とともに事業プランを作り、秋以降に実践する予定です。

スタートアップの支援に特に力を入れている都内の自治体の1つが渋谷区です。渋谷駅周辺には2000を超えるスタートアップ企業のオフィスがあり、渋谷区はオフィススペースの設置や海外企業が日本に進出するサポートをするなど様々な支援策をすすめています。

さらに今年、渋谷区は民間企業3社と共にスタートアップを支援する会社まで作りまして、その名も「渋谷スタートアップス株式会社」です。実績のある企業がスタートアップ企業に会社の立ち上げや経営の経験をアドバイスしたり、チャレンジする場を提供したりと新たなビジネスを生み出すためのサポートを行う会社です。2月に設立してから日本だけでなくアメリカやシンガポールなど13カ国の合わせて数十社から支援の応募があったそうで、今月中には最初に支援する10社程度を決定する予定です。

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