親子3代、競輪の世界に 齊藤英伊須さん(青森県八戸市)が養成所入所 父・紳一朗さんは現役選手

東北高校選手権のポイントレースで優勝した英伊須さん=2021年6月、八戸自転車競技場
英伊須さんの活躍に期待する父紳一朗さん(左)と祖父敏男さん

 今年5月、日本競輪選手養成所(静岡県伊豆市)に青森県八戸市の齊藤英伊須(えいす)さん(19)が125期生として入所した。父紳一朗さん(45)=八戸市=は現役の競輪選手(82期)、祖父敏男さん(70)=同=も元競輪選手(34期)。来春には県内でも例がないという親子3代の競輪一家が誕生する予定で、4日までの東奥日報の取材に2人は「けがなく続けてほしい」と英伊須さんにエールを送った。

 英伊須さんは中学まではサッカーに打ち込み、サッカーJ3ヴァンラーレ八戸の下部組織に所属していた。「一生懸命だったが、周囲にうまい人が多く、いつもベンチスタートだった」(紳一朗さん)

 八戸工業大学第一高校入学と同時に自転車競技を始め、東北大会優勝など頭角を現した。紳一朗さんは「次第にいいタイムで走れるようになり、大会新記録を出して注目も浴びるようになった。サッカーではくすぶっていた息子が、『大成功だ』と喜ぶ姿が一番うれしかった」と振り返る。

 父がバンクで走る姿を見て育った英伊須さんは2年前、養成所の入所試験に挑戦。この時はタイムが伸びず不合格だったが、昨年、2回目の受験で念願の合格を果たした。紳一朗さんは「親の立場としては『就職先が決まって良かった』とほっとした思いしかない」と苦笑いする。

 紳一朗さん自身も中学時代は野球をやっていたが、八戸工業高校入学後、「個人の力を試したい」と自転車競技に転向した。インターハイや国体優勝などの成績を残し、1999年にプロデビュー。若手日本一を決める「ヤンググランプリ」の出場経験もあり、現在は競輪選手会の八戸地区長を務める。

 「他のプロスポーツに比べて競輪は選手寿命が長い。だが私はけがに悩まされた。息子もけがが一番心配だ」と紳一朗さん。八戸電波工業高校(現八工大一高)卒業の敏男さんも「私は現役時代、鎖骨を15回ほど折った。そのたびに『元に戻さなければ』とばかり考えた。それでも息子、孫が同じ道に進んだということは、やはり競輪は面白い仕事なのだろう」と目を細めた。

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