新型コロナ ワクチン接種後の感染は上気道の免疫強化で重症化食い止めか 北大

北海道大学病院の研究グループは、新型コロナウイルス感染者15万人以上を対象とした大規模調査で、ワクチン接種回数が多い人ほど新型コロナ感染時に咳やのどの痛みなどの上気道症状が出やすく、さらに上気道症状がある高齢の感染者では症状が重症化しにくい傾向にあることを明らかにした。ワクチン接種が全身症状を減らすことは知られているが、上気道症状が出やすくなるという報告は初めてで、研究グループは「今後のワクチン研究や開発における重要な知見」と認識を示している。

(出典:北海道大学病院)

ワクチン3回接種で上気道症状が顕著に

同研究では、札幌市が昨年4月に運用を開始した新型コロナの診断を受けた個人が登録する「療養判定サイト」や「陽性者登録センター」のデータの他、ワクチン接種記録システムの情報が統合された情報を用いてオミクロン株(BA.2、BA.5)の流行下での症状の特徴を分析。約15万7800人の症例データを対象に、12の症状と基礎疾患、ワクチン接種歴、重症化の有無などを解析した。

その結果、全体では咳が62.7%と最も頻度が高く、次いで咽頭痛が60.7%、鼻汁が44.3%、38度以上の発熱の頻度は38.8%だった。BA.2流行期の症状と比べて、BA.5流行期の症状は発熱や食欲不振などの全身症状が多く、ワクチン接種歴や基礎疾患などの影響を取り除いた解析でも同様の結果を示した。

(出典:北海道大学病院)

ワクチンを3回以上接種している群では全身症状が出にくく、一方で鼻汁や咽頭痛などの上気道症状が出やすい傾向があることがわかった。ワクチン接種の影響は、最終接種から日数が経過するほど小さくなっていき、2回接種よりも3回接種の方がより強い影響が持続するという傾向を示した。

(出典:北海道大学病院)

高齢者は若年者と比べて、全体的に症状が出にくい様子が浮かびあがったが、高齢者ではいざ発熱や倦怠感などの全身症状があるとその後の症状が重症化しやすくなり、一方で鼻汁と咽頭痛を有すると、重症化しにくくなることがわかった。

研究グループは、詳細なメカニズムについては「不明」としながらも、「ワクチン接種によって上気道の粘膜免疫が強化され、有利な方向に作用している可能性がある」と分析。「今後のワクチン研究や開発における重要な知見」と位置づけている。

i北海道大学病院の研究グループは、新型コロナウイルス感染者15万人以上を対象とした大規模調査で、ワクチン接種者は新型コロナ感染zに咳やのどの痛みなどの上気道症状が出やすく、さらに上気道症状がある高齢の感染者では症状が重症化しにくくなることを明らかにした。ワクチン接種が全身症状を減らすことは知られているが、上気道症状が出やすくなるという報告は初めてで、研究グループは「今後のワクチン研究や開発における重要な知見」と認識を示している。

© 株式会社産経デジタル