横浜市ふるさと歴史財団は5日、関東大震災が1923年9月に起きる直前の8月に撮影された旧横浜駅や市中心部などの写真が見つかったと発表した。それぞれほぼ同じ場所から撮った大震災直後の写真原板も入手しており、壊滅的な被害を受けた前後の比較ができる。地震前の穏やかな日常を捉えた貴重な写真としても注目されそうだ。横浜開港資料館で8月26日から公開される。
分析した横浜都市発展記念館の吉田律人主任調査研究員によると、大震災直前の写真は、横浜市電気局の職員だった故中野春之助氏が撮影。遺族が横浜市に寄贈したアルバムに「大正十二年八月写」と記された写真6点が収められていた。
一方、中野氏が撮ったとみられる大震災直後の写真原板の存在は知られていたが、遺族から最近約40点の寄贈を受けた。
2代目の横浜駅(現横浜市営地下鉄高島町駅付近)の大震災前は、駅前道路に建物が並び、日傘の女性や白いスーツの男性が写っている。大震災後は、電車の残骸のようなものが路上に残り、建物は見る影もない。駅内部も焼損している。