神戸市営地下鉄にクレカタッチ決済 全線で切符購入やチャージ不要に インバウンドの利便性アップ期待

クレジットカードのタッチ決済に対応した自動改札機=2022年5月、福岡市の中洲川端駅(三井住友カード提供)

 神戸市交通局は5日、2024年4月から、クレジットカードのタッチ決済で市営地下鉄全線の乗降が可能になると発表した。関西の鉄道大手では南海電気鉄道に次ぐ導入となる。同年5月に沿線のユニバー記念競技場で「世界パラ陸上競技選手権大会」が開かれ、訪日客の利便性向上につなげる。

 カードを改札機の専用読み取り面にかざして利用する。ビザやJCB、中国銀聯など主要ブランドのカードが利用できるが、マスターカードは4月の利用開始に間に合わない可能性がある。カードを登録したスマートフォンやデビットカードなどにも対応する。

 市交通局は全26駅の改札機36台に、読み取り装置を新たに取り付ける。神戸電鉄とホームを共用する谷上駅では調整を進めている。改修やシステム導入費として約2億円を見込む。

 この決済システムは三井住友カード(東京)などが20年7月、全国の鉄道・バス会社に提供を始めた。現在は29都道府県の61事業者に広がり、兵庫県内では京都丹後鉄道の豊岡駅と列車内、神姫バスの一部車両で利用できる。全線に導入しているのは福岡市地下鉄など一部にとどまる。

 三井住友カードによると、国内では約3億枚のクレジットカードが発行され、25年ごろには全てのカードがタッチ決済に対応する。「イコカ」など交通系ICカードの発行枚数は約2億2千万枚といい、クレカのタッチ決済が今後伸びる可能性があるという。

 神戸にはパラ陸上の後も25年の大阪・関西万博、30年前後の神戸空港国際化などで、訪日客の増加が予想される。他都市では切符の購入に行列ができることもあり、市交通局の担当者は「大切な滞在時間を土産の購入など他のことに使ってもらえれば、経済への波及効果も高まる」と期待する。(高見雄樹)

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