マイナポイント、いつ戻る? ミス発覚から10カ月かかった例も 想定外のトラブルに修正進まず

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 マイナンバーカードを巡る混乱で、マイナポイントが別人に与えられ、そのまま当人に戻ってこないケースが相次いでいる。正しくポイントが付与されるまで10カ月かかった例もあった。なぜ、それほど時間がかかるのか。(高田康夫)

 国はマイナカードの普及を促すため「マイナポイント第2弾」として、最大2万円分のポイントが付与されるキャンペーンを実施した。期限内にカード作成を申請し、健康保険証や公金受取口座とひも付け、決済サービスの登録をすれば、ポイントがもらえる。

 紙の健康保険証廃止も打ち出され、自治体の支援窓口には申請者が殺到。その際、別人にポイントが付与されるなどのトラブルが多発した。総務省によれば、全国で172件あり、兵庫県内では少なくとも神戸、加古川、加西、西宮の4市で計7件のポイント関連トラブルがあった。

 加古川市では昨年8月、支援窓口の端末でAさんが情報を入力した後、ログアウトしなかった。直後にBさんが申請手続きをし、本来はAさんがもらうはずの1万5千ポイントが誤ってBさんに付与された。4日後にミスを把握した同市は予約名簿をたどりBさんを特定、ポイントを使わないように依頼した。総務省にもポイントを元のAさんに戻すよう求めた。

 総務省は「調整する」と答えたものの、半年以上も連絡がなく、ようやくポイントがAさんに戻ると伝えてきたのは今年6月。全国で不具合の報告が相次ぎ、同省が全国調査を行った後で、発覚から10カ月たっていた。

 ポイントの修正作業に時間がかかる理由として、同省の担当者は「誤って付与された人を特定し、ポイントを返還してもらう作業が必要。その人がすでにポイントを使用していれば、変換のため現金を振り込んでもらうなどしてもらわないといけない」と説明する。

 また、ポイントは申請者が登録する決済サービスを通して付与されるため、修正には決済サービス事業者の協力も必要になる。しかし、こうしたトラブルはもともと想定されておらず、強制とはいかない。「事業者に協力をお願いしていたが、なかなか対応してもらえなかった」(同省)のも修正が進まない理由のようだ。

 誤ってポイントが付与された人が特定できなかったり、返還ができていなかったりで、今も正しくポイントがもらえていない人は多いとみられる。同省は本来の権利者が改めてポイントを申請できる仕組みをつくるとしているが、時期は明らかにしていない。

 【マイナンバーを巡るトラブル】今年5月以降、データが別人にひも付けられたり、他人の情報が閲覧できたりするトラブルが相次いで発覚。別人にポイントが付与される例も多く、総務省が調査したところ、131自治体で172件確認された。内訳は、ログアウト漏れ136件▽決済サービスID誤入力32件▽職員が貸与した端末で発生2件▽マイナンバーカード交付誤り2件-だった。

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