「瞬間的に強い風」倉庫は飛ばされクレーン倒れ…突風被害は広範囲に 3人軽傷、建物被害27軒=静岡

7月4日午後、静岡県の掛川市や菊川市など遠州地方の沿岸部で発生した突風から一夜が明け、被害が広範囲に渡ることが明らかになりました。竜巻の発生が疑われ、気象庁の機動調査班が現地調査をしました。

<滝澤悠希キャスター>

「掛川市満水のゴルフ練習場です。元々ネットを支えていた支柱が真ん中から折れてしまっています。そのすぐ隣には東海道線が通っています」

掛川市内にあるゴルフ練習場。高さ30mの支柱が9本も折れました。当時、15人ほどの客が練習をしていましたが、幸いけが人はいませんでした。

<新貝守正副支配人>

「『ネットを下ろさなきゃいけないね』って話をしていたら、その時に雨が降ってきまして、そのまま一気にゴーという突風が来た」

午前11時、気象庁の機動調査班が現地に入りました。突風被害の原因を調べるのが目的です。現場周辺では4日午後、大気の状態が不安定でいわゆる「ゲリラ豪雨」に見舞われていて、突風が吹いたとみられる時間帯は竜巻注意情報が発表されていました。

掛川市千浜では大型トレーラーが横転。30代の運転手が右腕を打撲するなどの軽傷を負いました。被害は掛川市、菊川市、御前崎市の遠州地方の沿岸部に集中し、3人が軽傷。住宅が傾いたり、瓦が飛んだりするといった建物被害は現時点で27件確認されています。

大型トレーラーの横転現場から北に2kmほどの場所では…。

<滝澤悠希キャスター>

「掛川市中の工場です。白い大型のテントが、おそらく突風の影響で金網を破って田んぼの中で倒れています」

掛川市中の建材加工会社では4日午後5時ごろ、資材を保管するための倉庫が突風で飛ばされるのを従業員が目撃し、110番通報しました。

<野田栞里記者>

「もともとこちらにあった鉄の骨組みのテント型の倉庫は根こそぎ飛ばされ、いまは電線に引っ掛かっている状態です」

当時、この倉庫の中などには人はおらず、従業員約15人にケガはありませんでした。

<滝澤悠希キャスター>

「また掛川市の隣の菊川市でも被害が確認されています。菊川市嶺田の上空です。工場で使われている巨大なクレーンのような機械でしょうか、通常は画面右のように立っていますが、突風にあおられたと思われます。横倒しになっています」

菊川市の建設資材を製造する工場では大型クレーン1台が倒れました。クレーンが倒れたのはこちらも午後5時ごろ。当時、周囲に人はおらず、ケガ人はいませんでした。

さらに、被害は小学校でも…。掛川市の千浜小学校ではプールに砂や泥などが大量に入り、使えなくなってしまったということです。5日、現地で住民への聞き取りなどを行った気象庁の機動調査班は…。

<静岡地方気象台 上清直隆次長>

「いまのところ竜巻の目撃情報は聞き取りではありませんでした。『瞬間的に強い風が吹いて』という聞き取りが多かったように思います」

竜巻とは断定されませんでしたが、田中予報士は突風が生じた4日の現場の気象状況をこう分析します。

<田中健太郎気象予報士>

「きのうは上空に寒気、冷たい空気が流れ込んでいました。一方で地上付近は日差しの影響でぐんと気温が上がっていたんです。地上と上空の温度差がとても大きかったこと、これが雷雲を発達させました。きのうの午後5時の雨雲レーダーの様子です。菊川市や掛川市付近ではかなり発達した雷雲が発生していました。こういった雷雲、積乱雲からは竜巻などの激しい突風が起こる恐れも出てくるんです」

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