青森県、業務に生成AI積極導入へ 宮下知事「DXで事業者けん引」

初の定例記者会見で、チャットGPT活用の意向などについて述べる宮下知事=5日午前、県庁

 宮下宗一郎知事は5日、就任後初の定例記者会見に臨み、自動で文章を生み出せる「チャットGPT」などの生成AI(人工知能)を県庁の業務に積極的に取り入れる方針を示した。他のデジタルツールも活用し、庁内の業務効率化を進める。デジタル技術によって働き方を変革する「DX(デジタルトランスフォーメーション)」で県民の所得向上を目指すとし、「県のDXの取り組みが、県内の事業者をけん引する形になれば望ましい」と語った。

 生成AIが作成した文章は間違いが含まれることがあるなど問題点も指摘されている。宮下知事は負の側面を認めつつ「あいさつ文や定型文は瞬時に出来上がる。業務を改善できる新しい技術の導入はちゅうちょしない。県庁でしっかりと使える環境をつくることの方が大切」との考えを示した。

 具体的な活用法は今後、DX推進課を中心に職員が研究を進める。13日には、各種デジタルツールの活用法を県職員に紹介する「ICT体験会」を県庁内で開くという。

 文部科学省が「限定的な利用から始めるのが適切」とした学校現場での生成AI活用については、近く選任される見通しの新たな県教育長の下で県教育委員会が指針を定めるべきとした。

 宮下知事は選挙時の政策集に、産業分野でのDX推進を盛り込んでおり、この日の会見では「公約の大きな柱である所得向上のため、デジタル技術を活用して生産性を上げる必要がある。県のDXの取り組みを企業を含む全県に広げたい」と語った。

 記者会見ではこのほか、国際原子力機関(IAEA)が「安全基準に合致する」とした東京電力福島第1原発の処理水海洋放出について見解を問われ、「国は漁業関係者の不安にしっかりと向き合い、丁寧に説明してほしい。風評被害が起こらないようにしていただきたい」と述べた。

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