【カンボジア】FB監督委メンバー、入国禁止処分に[政治]

カンボジア外務省は4日、フェイスブック(FB)などのコンテンツを審査する米IT大手メタの第三者機関である監督委員会のメンバー22人を入国禁止処分とすると発表した。監督委がフン・セン首相のFB公式アカウントに凍結勧告を出したことへの報復とみられる。

外務省は、監督委の凍結勧告は「政治的な性質がある」と指摘。報道の自由と、国民が指導者から信頼できるニュースを受け取る権利を妨害したと批判した。その上で、主権維持と内政干渉の防止を理由に、22人に対して今後の入国を禁止し、国内にいる場合は48時間以内の出国を求めた。

監督委は、FBなどのコンテンツの扱いについてメタの判断が適切かどうかを検証する機関。大学教授など外部の有識者で構成するが、カンボジア在住者はいないとみられる。

監督委によると、フン・セン首相は1月9日に首相公式アカウントで、2022年の地方選挙で不正があったと首相を批判した政敵に対し、「家にギャングを送り込む」と暴力行為を示唆。監督委は6月29日、首相の発言は暴力の扇動に当たるとして6カ月間のアカウント凍結を勧告した。首相には約1,400万人のフォロワーがいた。

首相は通信アプリ「テレグラム」の公式アカウントで、今後はFBの使用をやめ、テレグラムに投稿すると発信した。

カンボジアでは今月23日に総選挙が予定されており、1日から選挙戦が始まった。フン・セン政権側は全議席獲得を目指しているが、多数のフォロワーを抱えるFBの首相アカウントを失ったことは選挙にも影響しそうだ。

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