富山の課題、室井さん直言 「旅行者目線で発信を」

富山の未来について意見を述べる室井さん(左)=富山市内のホテル

 富山市のANAクラウンプラザホテル富山で5日、「魅力ある未来の富山」をテーマに討論会が開かれ、女優・随筆家の室井滋さん(富山県出身)ら5人が観光誘客や地域づくりなどについて提言した。室井さんは持ち前のサービス精神で笑いを取りながら富山の課題を直言。旅行者目線で丁寧に楽しみ方を発信するよう提案した。

 討論会は富山信用金庫の取引先でつくる「とみしんビジネスクラブ」が主催し、企業社長ら約100人が出席した。

 本紙で「瓢箪(ひょうたん)なまず日記」を連載する室井さんと富山県の横田美香副知事、濱田政利宇奈月温泉旅館協同組合理事長(延楽社長)、同クラブの石橋隆二会長(石橋社長)、山地清富山信金理事長が登壇した。

 観光誘客について、室井さんは「知人から『富山に行ったら何をしたらいい』とよく聞かれる」と紹介。女優の浅野ゆう子さんからも相談があったと明かした。見どころとして館長を務める高志の国文学館(富山市)や、車内放送のナレーションを務めた黒部峡谷鉄道のトロッコ電車を入れていると笑って話し、旅行者が具体的な計画を立てやすいよう、丁寧に情報を発信するよう提言した。

 サスペンスドラマの撮影が多い大牧温泉(南砺市利賀村)の魅力にも触れ「私も何度も行き、殺されたりした」と語り、笑いを誘った。

 濱田理事長はインターネットで観光情報があふれる一方、「自分に合った情報を得ることが難しい」との見方を示した。宿泊客に歴史や文化、自然を伝えると満足度が高まるとし「宇奈月を愛するお客を増やしたい」と述べた。

 登壇者は街づくりや人の暮らし方についても考えを述べた。横田副知事は観光客を含めた交流人口の拡大、石橋氏は有機栽培による持続可能な地域づくりに意欲を示した。

 室井さんは「人工知能が発達したが、機械と話すだけで人は暮らしていけるのか。人とのつながりを大切にしたい」とも呼び掛けた。山地理事長は「デジタル化時代だが、結局は機械ではなく人が肝心。富山の未来のため、会員の皆さんと頑張りたい」と応じた。

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