児童虐待、茨城県内4000件突破 コロナ禍も影響か

県内児相の児童虐待相談対応件数

茨城県内の児童相談所(児相)が2022年度に相談や通告で児童虐待と判断した件数は、前年から290件増の4033件で初めて4千件を突破し、10年連続で過去最多を更新したことが5日、分かった。県は社会的関心の高まりで通報が増えたことや、警察からの積極的な情報提供が背景にあると指摘。近年はコロナ禍で在宅時間が増えたことが影響した可能性もあるとみている。

児童虐待の対策を考える「県要保護児童対策地域協議会」が今月開かれ、県が速報値を報告した。茨城県では13年度の1255件から増え続け、19年度に3千件を超えた。

虐待を種類別に見ると、子どもの前で家族に身体的・精神的暴力を振るう面前DVなど「心理的」が前年度から69件増の2432件で、全体の60.3%に上った。このほか「身体的」が132件増の1012件、「ネグレクト(育児放棄)」が93件増の548件、「性的」が4件減の41件となった。

相談の経路は「警察・家裁」が43件増の1647件で、40.8%を占めた。さらに「家族・親戚」が63件増の386件、「近隣・知人」が22件増の364件、「学校等」が25件増の318件と続いた。県警と児相は、18年1月から全ての児童虐待事案について情報を共有する「全件共有」を行っており、県青少年家庭課は件数に反映しているとみる。

虐待者別の割合は、実父が47.0%、実母が44.5%で、大半が実の両親による虐待だった。

被害者の年代別は、小学生が35.1%で最多。3歳~就学前が23.7%、0~2歳児が17.6%の順で、小学生以下が8割近くを占めた。

全国的に増加傾向にある中、県は同協議会で、交流サイト(SNS)を活用した相談の新設や児相の専門職に関する県独自の上乗せ配置など各種取り組みを説明している。

川和田由紀子県子ども政策局長は「関係機関との連携強化を図り、社会全体で児童虐待防止の対策を推進することが重要」と強調した。

© 株式会社茨城新聞社