茨城県内不法就労、全国ワースト1283人 7割が農業 雇用主「繁忙期だけ」

茨城県内で2022年に不法就労の事実が認められた外国人が1283人に上り、2年ぶりに全国ワーストとなったことが出入国在留管理庁のまとめで分かった。就労先の7割は農業。全国総数の2割は県内に集中しており、農業大県の茨城県で、不法就労者が後を絶たない実態が改めて浮き彫りとなった。

同庁のまとめによると、22年に入管法違反で退去強制手続きとなった外国人は全国で1万300人。うち不法就労の事実が認められたのは6355人だった。都道府県別で千人を超えたのは茨城県のみで、次いで千葉890人、愛知701人。茨城県は15年以降、21年を除き全国ワーストが続く。

出身国別では、タイが最多の312人で、ベトナム300人、中国287人、インドネシア213人だった。

県警などによると、不法就労者は、短期滞在ビザ(最長90日間)で入国して不法に残留したり、技能実習の期間終了間際に実習先から失踪したりしてその後も日本にとどまり、就労先を変えながら働いているとみられる。

同法違反(不法残留)などの罪で公判中のタイ人の男は「タイでの月収は日本円で3万円。日本は稼げると聞いた」と証言した。賃金が母国より高い日本で働き、収入の一部を送金。男は帰国後、4年以上の不法就労で得た「資金」で農業を営む予定という。

不法就労者が仕事を得る手段は、違法と知りながらも安い労働力を求める日本人との直接交渉だ。

21年に就労資格のない外国人男性を雇用したとして、同法違反(不法就労助長)の罪で実刑判決を受けた男性によると、畑で作業中に不法就労者から「仕事ありませんか」と声をかけられ、一度受け入れると同国人のネットワークでうわさが広まるという。男性は「人手が足りない繁忙期だけ雇っていた」と語った。

県警は22年、同法違反容疑で205人を摘発。うち不法就労助長容疑は18人だった。県警は不法就労者が外国人犯罪グループに加わったり、別の犯罪に手を染めたりすることを警戒し、同庁などと連携して取り締まりに当たっている。

© 株式会社茨城新聞社