線虫、静電気を利用し飛び上がる 昆虫くっつき移動、拡散か

高速カメラで撮影した静電気を利用して飛び上がる線虫(北海道大、広島大研究グループ提供)

 北海道大や広島大の研究グループは6日までに、手足や羽がない体長1ミリほどの線虫が、ハチなどの昆虫が持つ静電気を利用して飛び上がってくっつき、遠くに移動することを発見したと発表した。「ゆっくり地面をはう線虫がどのように世界中に広がったか」という謎の解明に向けた手がかりになるとしている。

 線虫は細長い形の小さな動物で、土や水の中などに生息する。においに敏感な線虫の反応を利用し、人の尿からがんを検出する研究も進められている。

 研究グループは、シャーレ内にいた線虫が上ぶたにくっついているのを発見。シャーレが静電気を帯びやすいプラスチック素材であることに注目し、帯電させたハチを近づけると線虫が引きつけられてくっつくことを確認した。実験では2センチほど飛び上がったという。

 線虫が飛び上がる速度は地面をはう速度の約千倍で「時速4キロで歩く人がピストルの弾と同じ速度で空中に飛び上がる」ほど。線虫は非常に軽く、しっぽの先で立ち上がって接地面積を小さくし、静電気でも飛び上がることが可能になると説明した。

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