乳酸菌市場が急拡大 小型ドリンク投入相次ぐ

明治は宅配専用で「R-1」シリーズの新商品を投入した(東京都千代田区で)

免疫ブームの高まりを追い風に、乳酸菌市場が急拡大している。各社が乳酸菌飲料や飲むヨーグルトといった小型ドリンクの新商品を相次いで投入。乳業メーカー以外も売り込みを強めており、スーパーやドラッグストアでは売り場を拡充する動きが出ている。

富士経済の調査によると、2022年の乳酸菌(原料成分)の市場規模は前年比9%増の48億円となり、23年は51億円に拡大する見込みだ。「機能性表示食品での採用増加や、健康意識の高まりで増えた。『生きて腸に届く』などのフレーズから健康イメージの訴求力が強く、今後も堅調に伸びる」とみる。

売り場には、乳酸菌の機能性を前面に出した飲み切りサイズの商品が数多く並び、「競合が激しく、乳酸菌関連の健康志向ドリンクは戦国時代」(大手乳業メーカー)の様相だ。

乳業大手の明治は、累計販売本数100億本超えの看板商品「R-1」シリーズの新商品「明治プロビオヨーグルトR-1ドリンクタイプThe GOLD」(100ミリリットル)を宅配専用で6月に新発売した。

同社独自の乳酸菌由来の成分を従来商品の2倍配合。宅配で習慣的に取り入れやすくすることで、ヒットの呼び水となっている効果の「体感」を狙う。

非乳業の筆頭格としてシェアを拡大するのは、キリンビバレッジが今春投入した「キリン おいしい免疫ケア」(100ミリリットル)だ。

「マスクを外す機会も増えてきたから」といった宣伝文句で、消費者の意識が高まる“免疫ケア”を訴求。売り上げは同社の従来商品の約2倍で推移しており、「特に6本パックが好調。量販店で家庭のストックとして購入してもらえている」(同社)という。

乳酸菌関連商品の市場の盛り上がりは、国産乳原料の需要拡大にもつながりそうだ。空前のヒット商品となった「ヤクルト1000」など、原料に脱脂粉乳を使う商品も多く、「在庫はまだ多いが、乳酸菌飲料向けの脱脂粉乳の動きは好調」(乳業メーカー)との声が上がっている。

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