土砂崩れで男性犠牲、宍粟の現場に追悼のサクラ 遺族「痛ましさ継承の場に」 西日本豪雨5年

植樹されたサクラの木は今春、花を咲かせた=4月、宍粟市一宮町公文

 今月で発生から5年となった西日本豪雨。兵庫県宍粟市一宮町公文では、土砂崩れに巻き込まれて住民の小椋文雄さん=当時(63)=が亡くなった。現場には地元の人たちが追悼のサクラ50本を植樹。今春には花を咲かせた。

 同市では5年前の豪雨で家屋8棟が全半壊。国や兵庫県、市による復旧事業は2021年に完了したが、工事箇所は市内で計302カ所、総事業費は約62億円に上った。

 被害が拡大した要因の一つは、川の橋脚に流木が引っかかったことで水があふれ、民家などが浸水したこと。工事では橋脚がない造りに改善するなどした。

 小椋さんが亡くなった現場は、県がのり面に格子状のコンクリートを造成。22年には、地元住民が4種類のサクラを植え、明るく面倒見のいい人柄だった小椋さんをしのんだ。

 小椋さんの長男一道さん(41)=姫路市=は今月2日、もうすぐ1歳になる長女史葉ちゃんと現場を訪れ、静かに手を合わせた。一道さんは「豪雨災害の痛ましさと教訓が継承される場所になれば」と話した。 (村上晃宏)

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