来店者の詐欺被害食い止めたコンビニ店員 2度目の感謝状に「もっと多くの人が声かけを聞き入れてくれたら」 兵庫

2回目の署長感謝状を贈られたローソン篠山長安寺店店員の田中洋子さん=丹波篠山市長安寺

 特殊詐欺被害の未然防止に貢献したとして、兵庫県警篠山署はローソン篠山長安寺店(同県丹波篠山市長安寺)店員の田中洋子さん(58)に署長感謝状を贈った。田中さんは2021年8月にも、詐欺被害を防ぎ、感謝状を受けている。

 6月7日午後5時20分ごろ、市内に住む60代の女性が来店し、レジそばのカード売り場でどれを買うか迷っている様子だった。女性はアップルギフトカードを3枚持って「とりあえず10万円」と、田中さんが立つレジに来た。

 高額な数字に高齢の購入客。田中さんはすぐに詐欺だと思い、「失礼ですが、何に使われますか」と尋ねた。女性は「個人的なことですので」とためらった。

 田中さんはその後も声かけを続けた。「今、詐欺が多いので、警察に聞いてみましょう」と相談を促した時、犯人から電話があり、女性が電話している隙に同署へ通報した。

 同署によると、女性はNTTを名乗る男から電話があり、「動画サイトの代金が未払いです」と言われ、未納金を支払うためにギフトカードを購入するよう促されたという。

 2回目の感謝状をもらい、田中さんは「声かけも警察署への相談も業務の一つで、何も特別なことはしていない。今回はお客さんが聞く耳を持ってくださったから防げたこと。もっと多くの人が声かけを聞き入れてくれたら被害が減ると思う」と話した。

 同署管内では今年1月から5月末までに、詐欺被害の認知は1件、相談は13件だった。県内では認知・相談ともに増加傾向にあり、同署は注意を呼びかけている。(谷口夏乃)

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