杵築高OB会、返済不要の奨学金制度 国立大を受験する3年生が対象【大分県】

OB会が新しい奨学金制度を創設した杵築高=杵築市

 【杵築】杵築高のOBでつくる杵高十王会奨学会(諸富正徳理事長、15人)が難関の国立大を受験する3年生を対象に、返済不要の奨学金制度を設けた。大学初年度の授業料と入学料約80万円や、通信講座の受講料を支給する。県内の高校では珍しい取り組みという。奨学金を巡っては昨年、宇佐高のOBが母校に1億円を寄付。来年度から奨学金制度などを設ける。

 杵築高の本年度の3年生は193人。最難関大(東大、京大、一橋大など)の合格者に初年度の授業料(53万5800円)と入学料(28万2千円)を支給する。難関大(大阪大、広島大、熊本大など)は初年度の授業料。その地域でレベルの高いブロック大(横浜国立大、東京都立大など)は、初年度半期の授業料(26万7900円)。通信教育の受講料や大手予備校の模試受験料も支給する。 

 杵高十王会奨学会は1975年から奨学金制度を始めた。近年は授業料の無償化などで希望者がいない状況に。さらに2008年の全県一区以降、優秀な人材が大分市の高校に流れる傾向があり、制度を見直した。

 本年度、同校から難関大には神戸大1人、広島大2人、岡山大1人、熊本大に3人が合格している。

 諸富理事長(58)は「ゆくゆくは杵築市に戻り、まちづくりの一翼を担ってほしい」と期待を寄せる。

 阿部悌治校長は「ありがたい話。近隣の優秀な中学生が集まる起爆剤にしたい」と話している。

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