高島誠が教える守備や走塁で一歩目を素早く切る為に知っておくべき「パフォーマンスライン」の見分け方とは!?【革新的守備・走塁パフォーマンス】

パフォーマンスライン

自分が使いやすい足を知ろう

足の使いやすさには多くの場合、”左右差〟がある

選手が高いパフォーマンスを発揮するためには、自分自身にはどういう身体の使い方が合っているのかを知ることが重要です。それを「パフォーマンスを発揮するために必要なライン分け」という意味で、「パフォーマンスライン」と名付けました。

パフォーマンスラインは8タイプに分かれます。自分にとって使いやすいのは「右足・左足」「右手・左手」「腹筋・背筋」のどちらか。この掛け合わせで8タイプです。

パフォーマンスラインは過去に出版した「革新的」シリーズでも紹介してきましたが、走塁と守備で特に大事になるのが「右足・左足」です。走り出す際、右足からスタートするほうが力が入るか、左足からのほうがいいのか。個人差があるので、28ページに掲載した見分け方で確認してください。

気にかけてほしいのが、多くの選手には“左右差”があるということです。野球では横を向いた状態から走り出す動作が多くありますが、右に走るのと左に走るのではタイムに大きな違いがあるケースがよく見られます。これはまさにパフォーマンスラインで、右足と左足のどちらが得意かという話です。

まずは自分自身を知るために、左右それぞれを向いた状態から10mダッシュのタイムを計測してみてください。違いがなければそれほど気にする必要はないですが、例えば右側を向いてのスタートは速い一方、左側はすごく遅くなるとします。これを一塁走者に置き換えて考えると、スタートはスムーズに切れるけれど、帰塁が遅くなるということになります。

帰塁が遅い選手は、リードを大きくとりたがらない傾向にあります。素早く牽制球を投げられた場合、アウトになる確率が高いからです。つまり、いくらスタートが速くても、リード幅が狭いために盗塁をできないということです。

逆に、左側を向いてのスタートは速い一方、右側は遅いという選手がいたとします。一塁走者として考えると、帰塁は速くできるから得意だけれど、スタートを切るのは遅くて苦手となります。この選手も盗塁はそれほどできないでしょう。

走塁や守備の動き出しで大事なのは、自分の得意な足をうまく使うことです。しかし多くの選手に見られるのは、左右の走り出しともに同じ動き方をしようとすることです。例えば進塁の一歩目をクロスして出す人は、帰塁の際もクロスして戻ろうとします。

ですが、左右で同じように足を使う必要はありません。左右差があるのは決して珍しくないので、進塁と帰塁で足の出し方を使い分ければいいのです。詳しくは42ページから解説したので、得意な足を「きっかけ」として使えるようになってください。

右側に走り出すのは得意な一方、左側は苦手という選手が得意な足を軸としてうまく使えるようになり、左側にもスムーズに動けるようになったとします。つまり、それは帰塁の動きも克服できたということです。この選手が一塁走者に出た場合、リードをもう一歩とれるようになり、それだけで盗塁のタイムを「0.1秒」短縮できます。

さらにトレーニングをして速く走れるようになれば、もう「0.1秒」くらい縮められるでしょう。足を速くするためには走るだけではなく、左右を向いた体勢からのメディシンボールスローでお腹の力をうまく発揮できることも重要になります(トレーニングメニューは150ページ以降を参照)。得意な足をうまく使い、さらにトレーニングを重ねていけば、「0.2秒」程度は多くの選手が短縮可能だと私は考えています。

「0・1秒」と聞くと、そんなに大きな差だと感じないかもしれませんが、それはあくまで生活の中での話です。「0.1秒」あれば、大人の陸上選手なら約1m、小学生でも50cm程度進むことができると思います。

野球の塁間は27.431mです。一塁走者として二盗を試みる際、リード幅を除くと二塁までは約24mの距離になります。二盗を成功させるためには、どれくらいの速さで走らなければならないでしょうか。プロ野球の場合、投手のクイック(約1.3秒)、捕手のスローイング(約2秒)、野手のタッチ(約0.1秒)を合わせた「約3.4秒」を切れるかが基準になると考えられています。

こうした世界の中で「0.1秒」や「0.2秒」を短縮する意味がどれくらい大きいのか、野球をしている皆さんにはよくわかるでしょう。

守備でも「0.1秒」の短縮は大きいです。動き出しの速さで、ギリギリの打球に追いつけるかどうかが変わってくるからです。特にセンターラインのセカンド、ショート、センターを守っている選手は、左右どちらの動き方もできるようになっておく必要があります。

守備や走塁で「一歩目」を素早く切れるようになるためには、パフォーマンスラインを知ることが重要です。自分の得意な足をうまく使えるようになれば、かなり優位に立てるからです。誰でもすぐにできることなので、ぜひ取り入れてみてください。

パフォーマンスライン(足)チェックの仕方①

自分は右足と左足、どちらが使いやすいかをチェックする。コーチや家族、チームメイトに手伝ってもらって行うのが基本。「自分は軸足のほうが使いやすいはず」といった先入観は持たずに行うのがポイントだ。

【基本姿勢】肩幅よりやや広めに足を開き、右足に体重を多めに乗せて立つ。その状態で右手を前に伸ばす。

パートナーに上から力を加えてもらい、手が下がらないように耐える。右足に体重が乗りにくい人なら、押される力に耐えるのが難しいす。

今度は左足に体重を乗せ、右手を伸ばして同じように上から力を加えてもらう。右足と左足、どちらに体重を乗せたほうが力に耐えられるかを確認する。

【ポイント】体重計をふたつ用意して7対3の割合で交互に体重をかけてチェックを行い、どちらが使いやすいか目で見て行うとわかりやすい。

※右手・左手、腹筋・背筋も含めたパフォーマンスラインのチェック方法は『革新的投球パフォーマンス』P21~P29を参照してください。

パフォーマンスライン(足)チェックの仕方②

どちらの足が使いやすいかをチェックするもうひとつの方法。より「走る」姿勢に近い形でチェックすることで自分の使いやすい足が意識しやすくなる。

体の右側に向けてスタート(進塁)

実際に二塁へスタートを切る際の足運び(P42参照)を、パートナーに進行方向とは逆方向に力を加えてもらいながら行う。このとき、もっとも力が入りやすく、パートナーを押し返しやすい足運びが自分に合ったスタート方法になる

【ポイント】たとえば自分の利き足が右であっても、スタート時に力が入りやすいのは左のケースもある。また、進行方向によっても強いスタートを切れる足が違うケースもあるので、各スタート方法でしっかりとチェックを行おう。

体の左側に向けてスタート(帰塁)

一塁へ帰塁する際の足運び(P42参照)を、パートナーに進行方向とは逆方向に力を加えてもらいながら行う。このとき、もっとも力が入りやすく、パートナーを押し返しやすい足運びが自分に合った帰塁方法になる。

出典:『革新的守備・走塁パフォーマンス』高島誠

『革新的守備・走塁パフォーマンス』はこんな人におすすめ!

・実際にプロで活躍している選手が取り入れている理論を知りたい ・守備・走塁を強化したい! ・具体的な練習方法を子どもに教えたい!
と感じている方には大変おすすめな本です。

1歩=0.1秒にこだわれば、俊足、強肩は、獲得できる、体格に劣る選手でも練習の質や技術を高めることで、プロと同等の水準を発揮しやすいと言えます。本書では、どのような意識で、どうやったら守備や盗塁の成功率を高めることが出来るか、肩を強くすることが出来るのか?実際にプロ野球選手と共に自主トレを行っている高島氏のメソッドを紹介すると共に、効果的な練習法を提案します。わずか一歩を短縮することで0.1秒を作り出すために何をしなければならないのか?それが革新的なパフォーマンスにつながります。

プロでも使われる技術を、高校生でも実践できるようオールカラーでわかりやすく解説!

普通の高校生でも140km/hを投げれるようになる、柵越えを連発できるようになる技術は、確かに実践可能ですが、ある程度の練習と時間を有します。技術と共に体を鍛えなければいけないからです。しかし守備と走塁に関しては、そこまで体格差は問題ありません。いかに一歩を早く踏み出すか、それにより0.1秒をどう短縮するか、その理論と実践メソッドを徹底解説します。

気になる中身を少しだけご紹介!グローブはどう選ぶ?

近年のトレンドは操作性の高い“コユニ”

野手にとって“相棒”とも言えるグローブを選ぶ際、どういう基準で決めていますか?憧れの選手が使っているとか、好きなメーカーだからなど、見た目を優先している人も少なくないかもしれません。もちろんカッコいいにこしたことはないと思いますが、最も重要なのは捕りやすさです。そこでまず考えてほしいのが、どんなグローブを使えば守備範囲が広くなりやすいかということです。まず、ゴロをさばく体勢は「正面で捕る」と「片手で捕る」の2パターンに大きく分けられます。本書では「正面で捕る」ことにこだわる必要はないとしていますが、主な理由は以下になります。

①パフォーマンスラインで左足が使いやすい場合、ゴロの正面に入るより、体の左側で捕球するほうが動きやすいという人もいる
②両手で捕る(正面で捕る)より、片手で捕る(シングルキャッチ&逆シングル)ほうが、守備範囲が広くなる
③正面に入っての“当て捕り”では、強い打球には対応しにくい

守備で大切なのは、いかにアウトの数を増やしていけるかです。それにはプレーの正確性や素早さ、そして守備範囲の広さが関わってきます。③で挙げた“当て捕り”は、素早いプレーにはつながるでしょう。グローブで捕球するのではなく、文字どおりグローブの土手でゴロをあてるようにして止めて、添えている手で素早く握り変えて送球できることがメリットです。ただし、“当て捕り”は両手で捕る(正面で捕る)ことを前提としているので、守備範囲が限られます。強いゴロが飛んできた場合、グローブの土手に当てても打球の勢いに負けて大きく弾いてしまうこともあるでしょう。対してシングルキャッチや逆シングルは、正面に入っての捕球より守備範囲が広くなり、強い打球にも負けずにキャッチできます。練習していけば、正面で捕るのと同じくらい捕球の精度も高められるはずです。メジャーリーガーの多くがシングルキャッチと両手での捕球を状況によって使い分けていることを考えると、必ずしも「正面で捕る」必要はないのです。シングルキャッチの確率を高めていく上で重要になるのが、どんな形状のグローブを選ぶかです。一般的にグローブは「縦型」と「横型」に分けられますが、私はもっと細かく分類する必要があると考えています。例えば野手の場合、グローブのポケットが深いとシングルキャッチをしやすく、そうした形状のものを「縦横型」と呼んでいます。

一方、“当て捕り”用は「縦型」で、ポケットが浅いです。そもそも土手で当てて止めることを目的につくられているので、ポケットが深くある必要はないのでしょう。本書で述べてきたように私はシングルキャッチもできることを推奨していますが、そうした捕球をする上で、近年プロ野球の名手たちの間で流行し始めているのが、“コユニ”という仕様のグローブです。文字どおり、グローブの小指を指す箇所に薬指と小指の2本を入れて、中指と人差し指はそれぞれ1本ずつ横にずらし、人差し指の箇所を開けて装着します。詳しくは66ページから説明していますが、人間の身体の構造上、薬指を中心に回転させたほうが手の操作性を高めやすくなるのです。加えて“コユニ”にするとグリップの力が上がりやすいので、強い打球にも負けずに捕球しやすくなります。そうして上手くキャッチできれば、スムーズな送球にもつなげやすいはずです。

“打球は変化する”ことを理解しよう「ボールのどこを打つかで打球にかかる回転は変わる」

プロ野球選手の一流打者は、打ちたい打球をイメージしてボールとコンタクトする場所を狙い分けると言います。細かく分けると、ボールは上、下、外、内、前、後ろを打つことができます。同じ軌道のスイングでも、どの場所を打つかによって打球にかかる回転が変わります。だから、ボールの打つ場所を狙い分けるというのです。学生野球でそこまで狙える選手は珍しいでしょうが、さまざまな打球が飛んでくることは変わりません。

逆に言えば、規則的な回転の打球が飛んでくるとは限らないのです。ゴロがイレギュラーにバウンドするのはグラウンドの凹凸などに要因がある場合もあれば、そもそも打球の回転により、地面と接地した際に不規則な方向に弾んでいくことも考えられるわけです。イレギュラーバウンドのゴロに対応するためには、まずはそう知っておくことです。その上で、スピンアクシスボールでノックを受けてみてください。バットの入射角や、スイングの軌道、ボールを打つ場所により、打球にかかる回転の違いを視覚的に捉えることができます。そうしたイメージを持っておくだけでも、実戦での対応が変わってくるはずです。

★基本の構え・守備とは ★キャッチャーミットの動かし方とは? ★走塁時のスタート足について ★俊足になるための詳しいトレーニング法とは
などなど気になるタイトルが目白押し!

著者の高島氏の元には今なお、シーズンオフの自主トレで球団の垣根を越えて、プロの野球選手が集まってきます。長くプロ野球選手を続けるために、自分に必要な技術を高めるため、高島氏の始動を求めて来るのです。本書はそこで教えるメソッドを具体的な練習方法と共に紹介しているので、あなたも「俊足」「強肩」を獲得できるようになります!

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『革新的守備・走塁パフォーマンス』
著者:高島誠

多くのプロ野球選手を育成し、プロ野球選手のサポートをするトレーナーな高島誠氏による「革新的パフォーマンス」シリーズ第4弾!1歩=0.1秒にこだわれば、俊足、強肩は、獲得できる、体格に劣る選手でも練習の質や技術を高めることで、プロと同等の水準を発揮しやすいと言えます。本書『革新的守備・走塁パフォーマンス』では、どのような意識で、どうやったら守備や盗塁の成功率を高めることが出来るか、肩を強くすることが出来るのか?実際にプロ野球選手と共に自主トレを行っている高島氏のメソッドを紹介すると共に、効果的な練習法を提案しています。わずか一歩を短縮することで0.1秒を作り出すために何をしなければならないのか?それが革新的なパフォーマンスにつながります。プロでも使われる技術を、高校生でも実践できるようオールカラーでわかりやすく解説。野球に携わるすべての人に読んで欲しい一冊です。

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