絶滅危惧・ブチサンショウウオ 西彼杵半島で50年ぶり発見 長崎・県民の森

西彼杵半島で約50年ぶりに確認されたブチサンショウウオ(深川さん提供)

 長崎県長崎市のながさき県民の森で、環境省レッドリストの絶滅危惧ⅠB類に選定されている両生類「ブチサンショウウオ」が確認された。県内でも限られた場所に生息しているが、国内の分布西限にあたる西彼杵半島での発見は約50年ぶりとみられる。
 同市自然環境調査員の深川元太郎さん(53)、田中清さん(71)が1月、同市神浦扇山町の県民の森敷地内で自然環境調査をしていたところ、細流近くの石の下で発見した。全長約5センチで、越冬中の小型の個体とみられる。
 深川さんによると、ブチサンショウウオは河川の源流域一帯の自然が豊かな環境に生息する。普段は石が堆積したガレ場の地下などにいるため、めったに見られないという。国内では九州北西部に分布し、県内では近年、多良山系、佐世保市の国見山系、長崎市の岩屋山で見つかっている。西彼杵半島では1968年に目撃記録があるのみで、その後50年以上確認されていなかったという。
 深川さんは「西彼杵半島には生息していないと思われていた状態だった。山間部の開発が進む中、県民の森が68年の開園以降も豊かな森を維持してきたため生き残ってきたのではないか」と話している。
 採集した個体は現在、標本にして国立科学博物館に所蔵している。今回の再発見に関する論文が、近日発行の県生物学会誌92号に掲載される予定。


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