豪雨5年 つながり大切に復興誓う 倉敷、総社 追悼式で遺族ら献花

追悼式で黙とうをささげる出席者=マービーふれあいセンター(代表撮影)

 2018年7月の西日本豪雨から5年を迎えた6日、甚大な水害で多くの住民が亡くなった倉敷、総社市で、市主催の追悼式がそれぞれ営まれた。遺族や住民代表らが犠牲者に哀悼の意を表し、「地域住民のつながりを大切に、未来に向けて進んでいく」と復興への誓いを新たにした。

 災害関連死23人を含む75人が犠牲になった倉敷市の追悼式は、真備町地区のマービーふれあいセンター(同町箭田)で開催された。亡くなった市民の名前が読み上げられた後、全員で黙とう。伊東香織市長が「豪雨の教訓を生かし、災害に強いまちづくりを進め、真備の復興と今後の発展に向けて取り組んでいく」と式辞を述べ、伊原木隆太岡山県知事は「倉敷市などと緊密に連携し、暮らしと地域経済の復興に全力を挙げる」とあいさつした。

 遺族を代表し、同町の自宅で亡くなった三丸八代栄さん=当時(85)=の長男幸三さん(63)=北九州市=が「もっと早く避難を促していれば、と悔やまれてならない。災害弱者の犠牲を1人でも減らせる体制整備の重要性を訴えることが、母への弔いになる」と強調した。

 住民代表で真備地区まちづくり推進協議会連絡会長の高槻素文さん(75)=倉敷市真備町=はハード整備が進む地区の現状に触れつつ「心の復興にはまだまだ時間がかかる。『真備・船穂総おどり』に全力で取り組むなど住民のつながりを大切に未来へ進んでいく」と誓った。会場には献花台が設けられ、参列者が白菊を手向けて手を合わせた。

 総社市は、同市中央の市民会館で式典を開いた。関連死8人を含む12人の犠牲者に黙とう。片岡聡一市長が「被災者一人一人に徹底的に寄り添い、心の復興を進めるとともに、災害の記憶を風化させないようにしたい」と式辞を述べた後、同市の復興を支援した全国の自治体への感謝状贈呈も行った。

 式典の参列者は倉敷市が212人、総社市が約700人。いずれも新型コロナウイルス禍で招待者数を抑えていた前年より大幅に増えた。

 豪雨による死者は、災害関連死を含め岡山県が95人、広島県が152人、愛媛県が33人。岡山では最大で9千人余りが身を寄せた仮設住宅は5日までに解消された。

西日本豪雨から5年となり、倉敷市の追悼式で黙とうする参列者=6日午前10時3分
倉敷市の追悼式で献花し、手を合わせる遺族=6日午前10時47分(代表撮影)
倉敷市の追悼式で遺影を手に参列する遺族ら=6日午前10時8分(代表撮影)
倉敷市の追悼式で献花する遺族=6日午前10時47分(代表撮影)
西日本豪雨の犠牲者を追悼した総社市の式典=6日午後2時37分
総社市の式典で献花する参列者=6日午後2時48分

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