海水浴場、監視員確保に苦労 青森県内、開設中止の恐れも 請負企業の人手不足や高齢化影響

監視員を確保できていないむつ市の大畑海浜公園海水浴場。一般市民向けの募集で定員を確保できなければ、今年も開設を中止する方針=5日午前

 青森県内の一部海水浴場で、運営する自治体が監視員の確保に苦労している。むつ市の大畑海浜公園海水浴場、浜奥内海水浴適地では5日現在、監視員が確保できていない。市は定員以上の監視員を確保できなければ、21日からの開設を中止する方針。このほか監視員が減り、人繰りに頭を悩ませる自治体もある。背景には監視員業務を請け負ってきた企業の人手不足や監視員の高齢化が影響している。

 むつ市ではこれまで、市内の警備会社が市内に4カ所ある海水浴場の監視員業務を受託してきた。しかし、大畑海浜公園海水浴場と浜奥内海水浴適地の2カ所は、昨年7月に行った入札で、全6業者が人手不足を理由に辞退。海開きまで時間がなく市は開設を断念した。この2カ所は今年6月の入札でも6業者が全て辞退したため、3日から、一般市民を対象とした監視員の募集を始めた。

 監視員業務は3人一組(常時2人以上)で行うため一定程度の人数が必要となる。募集人数は大畑海浜公園海水浴場が9人、浜奥内海水浴適地6人。市は10日まで、水産業振興課と市民スポーツ課が受け付ける。

 海水浴場は、毎年多くの子どもや家族連れでにぎわう。新型コロナウイルスの5類引き下げにより、今年は海水浴客の増加が見込まれる。市は採用した監視員に普通救命講習を受講してもらう予定だが、市担当者は「万が一、要救助者が発生した場合、適切に対応してもらえるか」と不安を口にする。それでも「海水浴を楽しみにしている子どもたちのためにも、何とか開設したい」と語った。

 かわうち・まりん・びーちと愛宕山海水浴場の2カ所は、監視員を担う委託業者が決まっているため、21日から開設する予定。

 海水浴場2カ所を運営する鯵ケ沢町は昨年より1人少ない5人の監視員で海開きを迎える。例年は経験者に声をかけ、人数を集めてきたが、昨年に監視員を務めた2人が今年は辞退。町民に打診したものの、1人の補充にとどまった。

 今年の夏は、人員不足に加え、コロナ禍や水害で利用者が少なかった昨年よりも増えると想定され、町政策推進課の担当者は「監視員の負担は確実に増える。土日祝日は5人全員に出てもらわなければ厳しい」と苦しい事情を明かした。

 むつ市の事案を「人ごとではない」と話すのは八戸市観光課の担当者。市内に2カ所ある海水浴場の監視員は市の管理運営委託先が確保している。今年は人数が集まったが、高齢の監視員が多く、今後、引き続き十分な人員が確保できるかは不透明という。

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