東京電力福島第1原発の処理水放出計画が国際基準に合致するとの国際原子力機関(IAEA)報告書について、茨城県の大井川和彦知事は6日の定例記者会見で「科学的に客観的な報告が出されたのは、大きなターニングポイント」と評価する一方、国や東電には引き続き漁業者らへの丁寧な説明を行うよう求めた。
処理水の海洋放出についてIAEAは4日、人や環境への放射線の影響は「無視できるほどごくわずか」などとする報告書を政府に提出した。政府は「夏ごろまでに」とする放出開始の具体的な時期を最終判断する。一方、県内の漁業関係者らは風評被害などを懸念し、放出反対の姿勢を崩していない。
大井川知事は報告書について「ターニングポイント」と位置付けた上で、漁業者ら関係者に理解を深めてもらうことが重要だと指摘。「報告書を踏まえ、風評被害を起こさない形で、理解を進める努力が必要」と述べ、政府や東電に丁寧な説明を改めて求めた。
6日、報告書の説明のため県庁を訪れた太田房江経済産業副大臣に対しても、同様の要請をしたと明らかにした。