災害を「自分ごと」に 田辺・龍神小が防災キャンプ、1泊して自炊や地震体験

雨で土砂が流れ落ちる様子を再現した実験を、間近で見学する児童(和歌山県田辺市龍神村湯ノ又で)

 和歌山県田辺市龍神村湯ノ又の龍神小学校は、防災キャンプを実施した。全校児童12人が、県土砂災害啓発センター(那智勝浦町)の職員から大雨による災害について話を聞いたほか、起震車で地震の揺れを体験。4~6年生は学校に1泊し、自炊などをした。

 同校では、避難訓練など年間を通した防災教育の一つとして、防災について学ぶ防災キャンプを実施している。コロナ禍の影響で、これまでデイキャンプとして行っていたため、宿泊するのは4年ぶり。

 防災教育では、児童が防災を「自分ごと」として捉えて取り組めるよう工夫しており、昨年度には児童の発案で、学校の備蓄食料の数や賞味期限を子どもたちが自ら調べる取り組みも実施した。

 この日は、県土砂災害啓発センターの職員3人が同校を訪問。高学年と低学年に分かれて授業をした。

 低学年の授業では、大雨により山が崩れたり、川があふれたりすることで、土砂災害や洪水が起こることを説明。道が通れなくなるなど生活に被害が出て、人の命を奪うこともあると伝え、災害の危険性を話した。また、簡単な実験を交えて、雨が降って山が崩れる仕組みを解説。「いつ崩れるか、どこに崩れるか分からないということも知ってほしい」と呼びかけた。

 児童は実際の土砂崩れや洪水の映像も見せてもらい、驚いていた。最後に「急な山には近づかない」「川の近くに近づかない」「外に出ない」「すぐに帰る」など、大雨が降った時に気を付けることを振り返った。

 授業の後は全校児童が運動場に移動し、県の起震車を使って地震の揺れを体感した。

 2年生の大江花歩さん(7)は「映像を見て、実際に起こったら嫌だなと思った。起震車には初めて乗ったけど、怖かった。災害に気を付けて、危ない所には近づかないようにしたい」。6年生の黒田竜真君(11)は「実際に災害が起こることに備えて、今日勉強したことを生かしていきたい。知り合いや、家の近くに住んでいる親戚にも教えてあげたい」とそれぞれ話した。

 この日の夜は4~6年生が学校に1泊した。時間をどう使うか、食事をどうするかなどは、児童が全て自分たちで考え、自炊をするなどした。

起震車で地震の揺れを体験する児童(和歌山県田辺市龍神村湯ノ又で)

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