大谷翔平 アメリカの難病少年へ届け続ける「約束のホームラン」慈善団体にも寄付

(写真:アフロ)

7月3日(日本時間)、ダイヤモンドバックス戦で31号ホームランを放ったエンゼルスの大谷翔平選手(29)。

「6月中のホームランは15本。これは’21年6月に自らが記録した同球団の月間最多本数を更新。日本人メジャーリーガーとして月間最多本塁打となりました」(在米スポーツライター)

そして来る7月5日、29歳を迎える大谷。20代最後の誕生日に向けて、ある“記念プロジェクト”が進んでいたという。

「大谷選手のスポンサー企業が、彼の誕生日に合わせて記念グッズを発売する計画を立てていたそうです。しかし現地のエージェントからストップがかかり、発売はシーズンオフに延期となったとか。その理由は、大谷選手が『特に今シーズンは野球に専念したいから』だったそうです。誕生日であろうと、盛大にお祝いされるのは好まないようです」(在米コーディネーター)

記念日でさえ堅実を好む大谷は、以前から“もらうよりも与えたい”性格だったようだ。スポーツ紙記者はこう語る。

「保育園のころから、大人がお菓子を渡しても断っていました。修学旅行のお小遣いを両親に返金したこともあるそうです。さらに’21年には『まだ早いから』と国民栄誉賞も辞退。謙虚な姿勢を貫き通しています。

一方で、誰かのためを思って贈り物をすることは好きです。長年の盟友である通訳の水原一平さんが結婚した’18年には新婚旅行のために旅行券を贈ったり、最近では新人記者の緊張をほぐすために“百万円札”のメモ帳をイタズラ半分であげたりしました。WBC後には“次回大会にまた一緒に出場しよう”とラーズ・ヌートバー選手(25)と約束し、愛用の高級腕時計をその場で渡していました。常に自分より相手を優先するのが大谷選手の流儀です」

そんな献身的な大谷だが、過去には「約束のホームラン」も届けている。

「『約束のホームラン』とは、大谷選手と同じく二刀流で歴史に名を刻んだ伝説の選手、ベーブ・ルースの逸話です。“難病で苦しむ息子にサインボールをお願いできないか”と少年の父親から頼まれたベーブ・ルースは、さっそく入院先に見舞いに行きました。喜ぶ少年にお願いされて、『君のためにホームランを打つ』と約束。そして翌日、見事にホームランを放ったのです。その姿に勇気をもらった少年は病気を克服したといわれています」(前出・スポーツ紙記者)

’14年、大谷は日本ハム時代から、すでに病気と闘う少年の願いをかなえていたーー。

「5月下旬、大谷選手は北海道の病院で子供たちと交流しました。車いすに乗ってキャッチボールをしていた少年が、『大谷選手の本塁打が見たい!』とおねだりをしたそうです。それに対し、大谷選手は『力をもらった。(ホームランを打てるように)頑張ります』と決意を示しました。その約1週間後の試合で、大谷選手は言葉どおりホームランを打ったのです」(前出・スポーツ紙記者)

■余命1カ月の少年の前で「トラウタニ弾」を

これだけではない。エンゼルスに移籍した大谷は’18年8月にも「約束のホームラン」を打っている。

「大谷選手は試合前に、大病と闘う余命1カ月あまりの少年と記念撮影したそうです。その日の試合ではマイク・トラウト選手(31)とともに見事、ホームランを放ったのです」(前出・在米スポーツライター)

その翌月、3度目の「約束のホームラン」がーー。

「試合前のグラウンドで大谷選手はアメリカの一人の少年と面会しました。少年は原因不明の難病を患っており、人工呼吸器をつけて車いすで生活していたそうです。その日は少年の7歳の誕生日だったそうです。初めて野球場を訪れ、憧れの大谷選手からサインボールのプレゼントまでもらった少年は、日本語で『ありがとう』と伝えたといいます。大谷選手も笑顔で喜んでいたといいます。

しかし、それだけで終わらせないのが大谷選手。なんと当日、ホームランを打ったんです。少年にとっては、きっと人生で一番のプレゼントになったことでしょう」(前出・在米スポーツライター)

あのベーブ・ルースを追い越す勢いで、子供たちとの約束をかなえ続ける大谷。その原動力となるのは、少年少女への愛情だーー。

「大谷選手は、子供たちへのファンサービスを欠かしません。たとえライバルチームのファンでも、平等に接しています。ある少年から『バットをもらえませんか?』と頼まれたとき、大谷選手は『あげないよ』と答え、さっとクラブハウスに戻ったそう。

しかし、再びグラウンドに現れて、その少年にサイン入りのバットをプレゼントしたのです。どんなに多忙でも、サプライズで子供たちを喜ばせようとする、大谷選手の心遣いが伝わります」(前出・在米スポーツライター)

なかでも大谷は、病いと闘う子供たちへの愛情が人一倍強い。

「’21年には『プレーヤーズチョイス賞』の賞金を慈善団体『ミラクルズ・フォー・キッズ』に寄付しました。がんなどの重病を患い闘病する子供たちとその家族を支援する非営利団体です。さまざまな慈善団体の中から子供たちが関わる寄付先を選んだところに、大谷選手の強い思いが見て取れます」(前出・在米スポーツライター)

’19年1月、大谷は生後まもなく重度の心臓病を患った川㟢翔平ちゃんをお見舞いするため、大阪の病院までやってきたこともある。その2カ月後、翔平ちゃんは天国に旅立つが、母・静葉さんの著書『翔平選手と翔平ちゃん 奇跡のキャッチボール』では静葉さんが、大谷への深い感謝の気持ちを綴っている。

「翔平ちゃんに対して『なんとしてでも力になりたい』と語っていた大谷選手。一人一人の子供たちに対する思いやりと行動力が、数々の『約束のホームラン』を生み出したのかもしれません」(前出・スポーツ紙記者)

大谷はこれからも、ホームランに乗せて、病いと闘う世界中の子供たちへ希望を届け続ける。

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