「来るたびに足がすくみ震える」大量の濁流 土石流に襲われて 災害の記憶風化させず次の世代へ

西日本豪雨の発生から5年。大雨への備えを、あらためて確認する日でもあります。広島市の被災地でも、多くの人たちが「災害の記憶を風化させない」という思いを新たにしていました。

広島市安芸区矢野東にある梅河団地では、献花台が設けられ、住民や遺族たちが花を手向けていました。

2018年7月、矢野地区では、大規模な土石流が発生しました。住宅に設置された防犯カメラには、大量の濁流が襲い、多くの車が流されていく様子もありました。

なかでも梅河団地には、山から流れ出た巨大な岩などが住宅地を直撃。当時、5人の住民が犠牲となりました。

あれから5年…。梅河団地に住む住民に話を聞きました。

住民
「目の前で暗がりでも流されるのが見えたので、足がすくみ震えて…。ここに来るたびに胸がつまる」

知人を失った住民
「砂防ダムを作ったからといって安心しておけない。砂防ダムを作っても隣りから流れてくるかもしれない。まさかここがというのは、山がある限りわからんよね」

広島市の松井市長は午後、梅河団地を訪れ、ハード・ソフト両面で早めに備えていく重要性をあらためて強調しました。

広島市 松井一実 市長
「いつ天候が急変して、災害が起こるかわからない地球環境になっている。災害に強い街づくりをこれからやっていかないといけない」

広島市安芸区では、災害関連死を含め19人が犠牲となりました。

警察官の息子を失った父親
「どうしても生きて帰ってきてほしかった。私たちの人生は大きく変わり、まだつらい思いをしている。そういう命の大切さを伝えていきたい」

土砂災害の悲惨さを、ずっと忘れないために次の世代に伝えようとする思いが、強くなっています

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