「火柱見え 死を感じさせる音」橋げた落下事故 ジャッキで位置合わせ中にバランス崩したか=静岡

7月6日未明、静岡市清水区の国道1号バイパスの工事現場で橋げたが落下し、作業員8人が死傷する事故がありました。事故は橋脚の上で橋げたをずらす「横取り」という作業中に起きたとみられています。

<三島乾児カメラマン>

「静岡市清水区、国道1号バイパスの工事現場です。50mほどの(長さの)橋が落下しています」

重さ140トンの橋げたが橋脚の脇にある道路に落下。未明に大きな事故が発生しました。午前3時すぎ、現場近くを走っていたトラックのドライブレコーダーです。大きな衝撃音が聞こえます。

<事故を目撃した運転手の男性>

「お〜びっくりした」

よく見ると、橋げたが落ちる様子が確認できます。

事故が起きたのは静岡市清水区尾羽の国道1号バイパスの工事現場。警察などによりますと、バイパス道路の上に高架道路の建設が進められていた現場で橋げたが落下したということです。

事故の瞬間をとらえたドライブレコーダーを搭載した車の運転手は、当時の状況をこう語ります。

<事故を目撃した運転手の男性>

「事故現場の手前は工事で通行止めになっていたので、う回路して、右側に入っていった。上り線に入った時点で、大きな1回目の音がして、事故現場を走行している10秒くらいの間、とても大きな音がした。とても大きく、鉄がこすれると出る火柱が見えて、死を感じさせるような本当に心臓がドキドキする音を初めて感じた」

<井手春希キャスター>

「事故の現場近くです。落ちた橋げたは約60mで、かなり大きいです。そして、歩道の黒い柵が落ちた橋げたで押しつぶされています」

この事故で、工事にあたっていた8人の男性作業員が巻き込まれ、このうち53歳の男性と51歳の男性の2人が死亡。4人が重傷、2人が軽傷を負っています。

<音を聞いた近隣住民>

「バリバリという音、ドーンという音がして家がすごく揺れた」

現場では何が起きていたのか?静岡国道事務所は「横取り」という作業をしていたと説明します。横取りとはクレーンで持ち上げた橋げたを、橋脚の上でジャッキを使って水平や垂直方向にずらし位置を合わせる作業です。今回の現場では橋げたをずらした際、そのまま落下したものとみられています。

<芝浦工業大学 稲積真哉教授>

「おそらくジャッキで上下する時にバランスが崩れたのではないか」

また専門家は安全対策が徹底されていなかったのではと指摘します。

<芝浦工業大学 稲積真哉教授>

「細心の注意を払った上で、かつ安全対策を施した上で実施されるので、今回の事故は例をみないと思う」

渋滞緩和のために進められていた工事で起きた今回の事故。警察は業務上過失致死傷の疑いで捜査を進めています。

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