【WEB限定】高校野球「スローガン」人気は? 本紙チーム紹介から分析 作新は…国学院栃木は…

夏の高校野球出場チームを紹介する本紙タブロイド判。各チームのスローガンが見出しになっている

 下野新聞社は毎年、夏の高校野球出場チームを紹介するタブロイド判を発行しています。今年は7月3日に各家庭へお届けしました。チームごとの見出しは、恒例で「スローガン」を載せています。チームカラーやメンバーが大事にしている思いがこもった言葉から、どんなことが見えるのか。分析してみました。

 7日に開幕する第105回大会には、61校59チームが出場します。

 最も多かったのは「全力」で9チーム。「全力プレー」や「全力疾走」も含めました。春に8強入りした宇都宮商は「全員全力野球」を掲げ、那須と連合を組んで初出場する宇都宮中央は「一燈照隅(いっとうしょうぐう)・全力」をチームスローガンにしました。一人一人が全力を尽くし、チームを明るく照らしたい思いを感じます。

 「全力」を掲げるチームは、前年から同じスローガンを掲げる傾向がみられます。9チーム中6チームは前年の文言を引き継いでいました。

 次いで人気の高いスローガンは「全員」。昨夏準優勝の宇都宮南が「全員野球」を掲げるなど、5チームを数えました。「全員」も前年から引き継ぐチームが多く、4チームはほぼ同じ文言を継続しています。「全員」と「全力」の合わせ技も人気で、例えば鹿沼商工は「全員野球・全力プレー」を掲げています。

 3位は「凡事徹底」。今春のセンバツで甲子園を経験した石橋のほか、栃木農、佐野、黒磯も使用しています。ベースカバーや外野フライの声掛けなど、野球は小さな積み重ねを怠ると手痛い失点を招きます。基本を大切に勝利をつかもうとするチームの思いが現れているのかもしれません。

 前年の第104回大会の紙面を見ても、最多は「全力」で7チーム、2位は「全員」と「凡事徹底」などが各4チームで並びました。ただ「凡事徹底」は2010年代前半に掲げるチームは少なく、スローガンにも不易と流行があるようです。

 上位に入らなかったスローガンはさまざまですが、「心ひとつ」「やりきる」などが例に挙げられます。悔いなくチームメートと1度きりの夏を過ごしたい-。球児や指導者たちの思いは、多種多様なスローガンに通底しているように感じました。

強豪校のスローガンは

 高い注目が宿命づけられている強豪校は、どんなスローガンを掲げているのでしょうか。

 昨夏覇者の国学院栃木は、「甲子園ベスト8 ~千射万箭(せんしゃばんせん)~」でした。惜しくも昨夏は甲子園ベスト8を逃しましたが、今夏は地方予選から雪辱を懸けて臨む意思が伝わってきます。千射万箭は、「一つ一つをないがしろにしない」という意味で、「凡事徹底」にも通ずるところがあります。

 その国学院栃木に11連覇を阻まれた作新学院は、今年も「攻撃野球、挑戦者精神、人間的成長」を掲げました。長く使われ続け、作新の代名詞とも言えるほど広く認知されたスローガンです。

 作新に限らず、複数年にわたって同じスローガンを掲げる強豪校は少なくありません。昨夏、4強の一角に食い込んだ佐野日大は、前年に続いて「自覚と責任」をスローガンに据えました。スローガン上位で紹介した宇都宮南の「全員野球」、石橋の「凡事徹底」も前年から引き継がれています。

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