〔国内〕2023年6月の災害を振り返る

2023年6月に発生した国内での大規模な災害、事故・事件の案件について振り返ります。

※被害の内訳については、原則的にレスキューナウによる情報取りまとめ時のものです。それぞれの記事の最終更新日以降の状況については反映されていないことがあります。

●6月
【台風】台風2号と梅雨前線により大雨 6県で線状降水帯が発生 各地で大きな被害
[被害]死者6人 行方不明者2人 負傷者56人
2023年6月2日から4日にかけて、梅雨前線が日本付近に停滞。この前線に向かって、南海上から北上してきた台風2号周辺の暖かく湿った空気が流れ込み、梅雨前線の活動が活発になった。このため、沖縄や九州から関東地方を中心に大雨となり、高知県・和歌山県・奈良県・三重県・愛知県・静岡県で線状降水帯が発生した。降り始めからの雨量は東海地方で500mmを上回ったほか、四国・近畿・関東地方でも400mmを超え、平年の6月の月降水量の2倍を超えた地点があった。
この大雨による土砂災害警戒情報が各地で発表され、和歌山県海草郡紀美野町や海南市、有田郡広川町で一時警戒レベル5の緊急安全確保が発令された。また、台風2号の影響を長く受けた沖縄県では特に風が強まり、南城市32.9m/s、うるま市32.7m/sなど、6月史上1位となる最大瞬間風速を観測。沖縄や九州から東北にかけての広い範囲で停電が発生し、和歌山県や岐阜県では一時断水も発生した。交通では東海道・山陽新幹線のダイヤが乱れ、高速道路が通行止めになった所もあった。

【地震】浦河沖でM6.2・北海道千歳市などで最大震度5弱の地震、一部交通機関に影響
[被害]負傷者1人
2023年6月11日18:54頃、浦河沖を震源とするM6.2の地震が発生した。北海道千歳市・厚真町・浦河町で最大震度5弱の揺れを観測したほか、北海道から静岡県にかけて震度4~1の揺れが観測された。今回の地震は太平洋プレート内で発生したものであり、震源の深さが136kmと深く、揺れが観測された地域は広範囲となった。
この地震で、北海道室蘭市で負傷者が確認されたが、このほかに人的・物的被害の情報はなかった。交通機関への影響としては、震度5弱の揺れを観測した千歳市にある新千歳空港では、滑走路の点検により一時航空機の離着陸を見合わせ、一部の便に遅れが出た。また、鉄道では室蘭本線や日高本線の一部区間で一時運転を見合わせた。

【事故】北海道八雲町の国道で都市間高速バスとトラックの衝突事故、17人死傷
[被害]死者5人 負傷者12人
2023年6月18日12:00頃、北海道二海郡八雲町野田生の国道5号で、札幌から函館に向かっていた都市間高速バス「高速はこだて号」と養豚会社のトラックの衝突事故が発生した。この事故で、バスは右前方が大破して乗客3人と運転手が死亡し、乗客12人が重軽傷を負った。また、トラックは運転席の部分が激しく損傷し運転手が死亡したほか、輸送中だった食肉用の豚が道路上に投げ出された。
その後の警察の捜査などにより、トラックが対向車線にはみ出し減速しないままバスと衝突したとみられ、トラックの運転手の勤務実態など事故原因の特定が進められている。また、この事故を受けて、現場のセンターラインには「ランブルストリップス」と呼ばれる、溝を掘って音と振動でドライバーに注意を促す舗装の改良が決まった。

【自然災害】山口県や九州地方を中心に記録的な大雨
[被害]死者1人 行方不明者2人 負傷者1人
2023年6月30日頃から7月2日にかけて、山口県から九州にかけて、活発化した梅雨前線の影響で記録的な大雨となった。この大雨で山口県と鹿児島県奄美地方で線状降水帯が発生した。
山口県では、下関市と美祢市で記録的短時間大雨情報が複数回発表され、山口市で川に流された車の中で1人が死亡、美祢市で道路で冠水した車の運転手1人が行方不明となった。また、美祢市では150軒以上の家屋が浸水し、上水道施設への浸水で断水が発生した。山口県内ではこのほか下関市でも浸水や上水道施設への被害による断水が発生した。鉄道の被害も大きく、美祢線で鉄橋が流出、山陰本線では鉄橋が傾くなどの被害が発生し、現在も運行再開の目処が立たない状況となっている。
九州地方では、大分県由布市で土砂崩れが発生し住民1人が行方不明となったほか、隣接する住宅の住民2人が一時孤立状態となったがこちらは救助された。また、福岡県岡垣町でも土砂崩れで住宅が倒壊し、住民1人が負傷した。この他、九州各地や愛媛県でも、冠水による被害や道路の陥没、土砂崩れなどが相次いだ。

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