展示品を読み解く 茨城県立歴史館で企画展 ヒント基に来場者探る 30日まで

「徳」の書に込められた意味について、来館者に解説する学芸員=水戸市緑町

題材や伝来、目的など、さまざまな視点から史料を分析する企画展「メノツケドコロⅡ-収蔵品の謎を解明せよ-」が、水戸市緑町の県立歴史館で開かれている。同館の収蔵品を中心とした展示品55点を、添えられたヒントを基に来場者自身で読み解いていく。30日まで。

考古、歴史、美術・工芸、民俗の4章で構成される。展示品の解説がQ&A形式になっているのが特徴。来館者は問いを基に展示品について考え、見ただけでは分からない真実を探ることになる。

1日は、4人の学芸員らによる展示解説が行われた。歴史の章では「徳」と書かれた徳川斉昭筆の書を考察。漢字1文字の同書からは、人徳、悪徳、徳川とさまざまな意味が連想できることを挙げた。この書が那珂湊の豪商・木内家に伝わるもので、木内家は水戸藩への資金援助に際し代償を全く求めなかったという背景があり、同書は木内家の姿勢に対する「徳」と読み解ける、と説明。

参加者は学芸員の解説に深くうなずき、さらに落款の文字に着目した質問をするなど、展示品への理解を深めていった。参加した大洗町の田口政弘さん(59)は「説明を受けてより興味が湧いた。知った地名が出てきて面白かった」と話した。

同館学芸課長の由波俊幸さん(48)は「学芸員が普段どういった切り口で史料を見ているか感じてほしい。学芸員になったつもりで考えてみて」と話している。

展示解説は16日午前11時にも行われる。

© 株式会社茨城新聞社