海水浴場に大量流木 氷見・島尾、一夜で砂浜覆う

大量の流木が打ち上げられている砂浜=富山市の岩瀬浜海水浴場

  ●富山、黒部でも続々漂着/自治体など撤去急ぐ

 夏本番を迎えた富山県内の海水浴場の砂浜に大量の流木が漂着している。富山市では約9キロにわたって樹木や低木が散乱、氷見、黒部市でも流木が押し寄せた。氷見市の島尾海水浴場では海開き前日になって、一夜のうちに砂浜が流木で覆われた。海水浴シーズンが本格化する中、関係者からは「安全に遊べない」と不安の声が上がり、自治体などが撤去作業を急ぐ。

 県によると、今年開設する県内の海水浴場は8カ所で、内訳は富山と氷見が各2カ所、高岡、射水、黒部、朝日が各1カ所。

 富山市では常願寺川河口の西側の砂浜ほぼ全てに流木が漂着。1日に海開きを行った八重津浜と岩瀬浜の海水浴場にも流れ着いた。

 岩瀬浜ではアシやヨシなどの低木が波打ち際に残され、長さ5メートルを超える木の残骸や細い枝なども散乱。岩瀬浜海水浴協同組合代表理事で浜茶屋「栄楽荘」を営む米久保渉さん(43)は「流木を踏んだり、つまずいたりしてけがをするかもしれない」と懸念した。

 岩瀬浜と八重津浜を管轄する県富山港事務所は6日から漂着物を撤去。八重津浜では委託業者がショベルカーで遊泳エリア周辺の砂浜約500メートルの流木を移動させた。岩瀬浜では10日から本格的に作業を行う。

 常願寺川河口の西側の海岸約4.5キロを管理する県富山土木センターは今月末までに管理区域の漂着物を全て撤去する予定だ。

 同センターによると、5月9日に住民の情報提供で流木の漂着を把握。大型連休明けの同7日に見舞われた県内の強い風雨で、河川から富山湾に倒木や枝が流出し、風や潮の影響で海岸に打ち寄せたとみられる。

  ●「流出場所や時期特定は難しい」

 海岸漂流物を調査する県立大環境・社会基盤工学科の久加(きゅうか)朋子准教授は八重津浜と岩瀬浜に漂着した流木について、ヨシやアシといった河川の水際などに生える低木が大半を占め、比較的古いものが多いことから「流出場所や時期の特定は難しい」とした。

 今月に入っても流木の漂着が各地で相次いだ。氷見市の島尾海水浴場では5日、前日から一夜にして砂浜が大量の流木に覆われた。市によると、撤去に1週間以上かかるとみられ、担当者は「シーズン本番に間に合わせたい」と説明した。

 同市では2日に市民一斉清掃、4日に業者が砂浜清掃を行うなど6日の海開きに向け準備を進めていた。浜茶屋を営業する村井かな子さんは「みんなできれいにしたばかりだったのに」と残念そうに話した。

 黒部市の石田浜海水浴場では細かな木々を中心に、長さ数メートルの樹木も波打ち際に漂着。国土交通省黒部河川事務所と関西電力北陸支社が1、2日、黒部川上流の出し平ダムに堆積した土砂を宇奈月ダムと連携して流す連携排砂を実施した影響とみられる。

 石田浜は15日に海開きを予定し、国交省が12日までに流木を撤去する。石田浜海水浴場運営協議会長を務める石田自治振興会の能登民夫会長は「迅速に対応してくれて、ホッとしている」と表情を緩めた。

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