内水氾濫恐れ136地区 茨城県内初調査 避難の目安検討

記者会見で内水氾濫に備えた対応について説明する大井川和彦知事=6日、県庁

茨城県内で「内水氾濫」が発生する恐れのある地区が29市町村の計136に上ることが県の調査で6日、分かった。6月初めに取手市双葉地区で起きた浸水被害を受け、緊急調査した。調査は初めて。各地で内水氾濫の予測が課題となる中、県は避難情報を出すための目安の設定に向けて検討を始めた。

調査は、内水氾濫が過去に地区全域や10戸程度の集落で発生したり、今後起こる恐れがあったりする地区について、市町村を通じて洗い出した。その結果、全44市町村のうち、29市町村の計136地区で、内水氾濫の発生リスクがあることが判明した。

県は調査結果を基に、避難情報を出すための目安を設定したい考え。地形や雨量、雨水の処理能力など地域ごとの実情を踏まえ、学識経験者の意見を聞きながら検討を進める。

河川氾濫への備えは、周辺住民への避難指示や注意を促す際の目安となる水位が特定の川などで定められている。一方、雨水の排出が追い付かず、水路やマンホールから水があふれて地域が水に漬かる内水氾濫については、避難情報を出すための基準の設定が難しいとされる。

県防災・危機管理課は「地区ごとの内水氾濫に備えるため、一定の基準を定め、避難を呼びかける目安にできないか検討したい」とする。

県内では浸水想定区域のない牛久、桜川両市を除く42市町村で「洪水ハザードマップ」が策定済み。一方で「内水ハザードマップ」を作成しているのは水戸、土浦、古河、結城、取手、鹿嶋、ひたちなか、東海の8市村にとどまる。

取手市双葉地区では6月初め、台風2号や梅雨前線の影響による大雨で600件近く浸水した。市は記録的な雨量などに対して排水ポンプの能力が追い付かず、内水氾濫が起きたとみている。

6日の定例記者会見で大井川和彦知事は「内水氾濫はいつ発生するか、はっきりしない部分がある。発生リスクのある地域を洗い出し、検討したい」と話し、国や有識者と協力して内水氾濫の対策を強化する方針を示した。

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