織り姫と彦星は1年に1回も会えない? 7月7日「七夕」について専門家に聞いてみた【みんなのハテナ】

Park KSBアプリに皆さんから寄せられた疑問をもとにお伝えする「みんなのハテナ」です。7月7日は七夕。今回はそんな「七夕」に関するハテナです。

「なんで七夕は7月7日なの?」(岡山市 ひろピスカル 51歳)

この疑問について、国立天文台の佐藤幹哉さんに聞いてみました。

(国立天文台/佐藤幹哉さん)
「元々中国が由来になっているんですけれども、中国で奇数が重なる日がとても良い日だとされています。その中の7月7日というのが選ばれて、この七夕の風習が出来上がったと考えられます」

かつて中国では、旧暦の7月7日に女性の幸せを祈るお祭りが開かれていました。この風習が、奈良時代に日本の宮中に伝わりました。その後、一般の人にも伝わり、日本では7月7日が「七夕」となったと考えられています。

「なんで『タナバタ』と読むの?」(岡山市 さあや 45歳 他)

これについて国立国語研究所の山田貞雄さんは「行事」と「言葉」2つが混ざりあったものだとしています。

山田さんによると、かつて中国では旧暦7月7日の夕方を「七」に「夕」と表記していました。

また日本では、同じ時期に農業の成功を祈って「棚」を作ってお供えをする行事がありました。この行事は「機」を織る若い女性がかかわっていたとされ、「棚」と「機」で「たなばた」と呼ばれていました。

時代とともに中国の「表記」と日本の「たなばた」の読み方が混ざり、「七」に「夕」と書いて「たなばた」と読むようになったということです。

織り姫と彦星の距離感は……

そんな「七夕」といえば、「織り姫と彦星」の物語を思い浮かべる人がいるかもしれません。

この織り姫は「こと座のベガ」、彦星は「わし座のアルタイル」とされています。

2人は「1年に1回だけ会える」とされていますが……。

(国立天文台/佐藤幹哉さん)
「2つの星の間も調べてみると、大体 光のスピードで14年半くらいかかってしまう」

佐藤さんによると、織り姫星の「ベガ」と彦星の「アルタイル」は、距離にして14.4光年も離れています。そのため、1年に1回会うのはなかなか厳しい状況です。

(国立天文台/佐藤幹哉さん)
「例えば電話をかけるとするじゃないですか、電波も光と同じスピードですので、織り姫さんが『もしもし彦星さ~ん』と電話をかけたときに、その音声を乗せた電波が届くのに14年半かかる。会話が1往復するのに29年かかってしまう」

「あまり天気がよくないイメージがあるけど実際どうなんでしょう?」(岡山市 くんくん 58歳)

皆さんは、7月7日の七夕の夜に「天の川」を見たことがありますか?

高松地方気象台に「七夕の夜」の天気を聞いてみると、高松市で「くもり一時晴れ」など「晴れ」と入っていたのは、過去10年で「3回」ありました。ただし、いずれも午後9時の時点では空の6割から8割が雲におおわれていたということです。

同様に岡山市で「晴れ」が入っていたのは4回ありましたが、午後9時の時点で空の9割以上が雲におおわれた年もあるなど、なかなかきれいな天の川をみることは難しい年が多かったようです。

過去20年で雲の量が2割から3割程度の「すっきりと晴れた年」を探してみると、高松市は2004年の1回のみ、岡山市は2004年と2005年の2回でした。

七夕は「梅雨」の期間中であることが多いため、すっきりとした晴れはなかなか難しいようです。

ちなみに、「7月7日」は雨や曇りの日が多いため、1カ月遅らせた「8月7日」に七夕の行事を行う地域もあるそうです。

気になる2023年の七夕の天気は岡山市では「晴れのち曇り」高松市では「曇り」の予想です。

(国立天文台/佐藤幹哉さん)
「曇りぐらいだったら少し探してみる。晴れてこないかなと待ってみるのは悪いことじゃないと思いますね」

夜9時ごろだと、織り姫星である「ベガ」は真上より少し東側の空に真っ白に輝いていて、彦星である「アルタイル」は東の空の少し低い位置にあります。

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